【11月6日 AFP】パレスチナ自治区のマフムード・アッバス(Mahmud Abbas)議長は5日、パレスチナ自治区ラマラ(Ramallah)でテレビ向けに演説を行い、来年に予定されている議長選挙に立候補しない意向を明らかにした。議長の不出馬表明は、米国が進めるイスラエルとの中東和平交渉に大きな打撃を与えるとみられている。

 これまでアッバス議長は対イスラエル和平交渉の再開の条件として、占領地への入植凍結を求めてきたが、調停役の米政府が前月、交渉再開の条件としてイスラエルに入植凍結を求めないことを明言した。

パレスチナ当局によると、アッバス議長が今回のような決断を下したのは、イスラエルとの和平交渉についてのこうした米国の態度に失望したためという。アッバス議長自身は、手詰まり状態が続いている和平交渉が今回の不出馬表明に直接関係していると述べてはいないが、米国がイスラエルに完全な入植凍結を要求しないと決定したことに「驚かされた」と話している。

 議長の代わりに誰が出馬するかは明らかにされていない。また、パレスチナ解放機構(PLO)主流派でアッバス議長の支持基盤であるファタハ(Fatah)は、議長の決断に反対しており、出馬を強く求めている。

 一方、アッバス議長は前月、自治政府の議長選挙と総選挙を来年1月24日に実施すると発表したが、ガザ地区(Gaza Strip)を実効支配しているイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)がこれに反発し、選挙の実施が危ぶまれている。(c)AFP/Nasser Abu Bakr