【11月5日 AFP】カンボジア政府は4日、フン・セン(Hun Sen)首相の経済顧問に、汚職で有罪判決を受け海外逃亡中のタイのタクシン・シナワット(Thaksin Shinawatra)元首相を任命したと発表した。

 フン・セン首相は10月末、2006年にクーデターで失脚した後、汚職罪での拘束・収監を避けて海外逃亡中のタクシン元首相をカンボジアに受け入れると表明し、タイとの緊張が高まっている。

 国営テレビで発表された政府声明によると、タクシン元首相はフン・セン首相の個人的な経済顧問およびカンボジア政府の経済担当顧問に正式に任命されたという。

 声明は、「タクシン氏の受け入れは道徳的行為であり、よい友人は難しい状況で互いに助け合う必要がある」と述べるとともに、元首相の汚職罪について「政略的なもの」だとして、もし元首相が「カンボジアに滞在したり、義務を果たすために国内外を移動すると決めた場合」は、(タイに)身柄の引き渡しはしないと言明した。

 カンボジアとタイの二国関係は2008年6月に世界遺産周辺地域をめぐる国境紛争が勃発して以来、緊張が続いている。

 タイ側はタクシン元首相の顧問任命はカンボジアの内政問題だとしつつ、カンボジアに入国した場合は身柄の引渡しを強く求めるとしている。(c)AFP/Suy Se