【10月30日 AFP】パキスタンを訪問中のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)米国務長官は29日、同国の文化の中心地ラホール(Lahore)で新聞社の編集幹部や企業幹部らとの対話集会に出席した。このなかでクリントン長官は、パキスタンの国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)への対処のまずさや経済政策の改善について厳しく指摘した。

 クリントン長官は28日から、アルカイダとの戦いの前線にある同盟国パキスタンを訪問している。同国政府を励まし、高まる反米感情を緩和することが目的だが、「過去に誤りはあったが、両国関係の新たなページを開きたい」とのメッセージを伝えた後、いらだちを隠せない様子でまくし立てた。

 バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領がパキスタンをアルカイダとの戦いの中心地と位置づけてから同国を訪れる最高位の米政府当局者であるクリントン長官は、アルカイダ指導者はパキスタン国内にいないとする同国政府の考えに異議を唱えた。

「2002年以降、アルカイダはパキスタンに隠れ家を持っています」「(パキスタン政府が)本当にアルカイダを捕まえたいと思っているのにパキスタン政府の誰も彼らの所在を知らず、捕まえられないというのは信じがたいことです。本当に彼らを捕まえられないのかも知れませんが、私には分かりません・・・しかしわれわれが知る限り、彼らはパキスタンにいます」

 さらに、75億ドル(約6900億円)に上る米国の対パキスタン非軍事援助にパキスタンの軍や野党からパキスタンの主権侵害だとの批判があがっていることにもいらだちを示した。

「失礼だとお感じになるかもしれませんが、パキスタンは国内の公共サービスや事業機会にもっと投資すべきです」「(パキスタンの)国内総生産(GDP)に対する税金の割合は世界でも最低水準です。米国では動産、不動産を問わずあらゆるものに課税していますが、パキスタンではそうなっていません」「パキスタンの人口は1億8000万人で、将来3億人になると予測されています。今すぐに計画を始めずに、このような課題にどう対処するというのでしょうか」などと厳しく批判した。(c)AFP/Christophe Schmidt