【10月28日 AFP】フランスのニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領は27日、農業従事者に対し6億5000万ユーロ(約880億円)の追加支援や10億ユーロ(約1400億円)の低金利の融資制度を年内に始める方針を発表した。

 サルコジ大統領は同国東部のコンテチーズ産地ポリニー(Poligny)で演説し、農業はフランスにとって最重要の産業であり、危機の中でもフランスの農業を衰退させたりはしないと述べた。

 フランスは欧州連合(EU)最大の農業国で、農業従事者は77万人に上る。フランスの農業は政府によって手厚い保護を受けているものの、過去1年間の15%もの農産物価格下落で窮地に立たされている。

 農業従事者らはここ数か月にわたり、大量の牛乳を道路にまいたり、トラクターをゆっくり走行させて道路をふさいだり、首都パリ(Paris)の目抜き通りシャンゼリゼ(Champs Elysees)に築いたバリケードに火を放ったりするなどの抗議活動を加速させている。

 支持率が低下し、与党内からも不満の声が上がる中、サルコジ大統領は農業危機の最大の要因は欧州や世界に規制がないことだと主張し、欧州委員会(European Commission)に対して農産物価格に影響を与える市場投機を制限し、金融派生商品の管理を強化するよう要請した。

 欧州委員会の報道官は、フランスの計画を詳しく調べて独占禁止法に違反していないかどうかを判断するとしている。

 仏全国農業経営者組合連盟(FNSEA)は今回の支援策に一定の評価を与えたが、短期的な支援策は同連盟が求めている食料小売価格の公的規制に代わるものではないと指摘した。(c)AFP/Nadege Puljak