【10月26日 AFP】鳩山由紀夫(Yukio Hatoyama)首相(62)は26日、衆参両院の本会議で所信表明演説を行い、自らが掲げる友愛政治の理念を語り、行き過ぎた資本主義から「人間のための経済」への転換を訴えた。

 鳩山首相は「市場における自由な経済活動が、社会の活力を生み出すのは自明のことだが、市場にすべてを任せ、強い者だけが生き残ればよいという発想や、国民の暮らしを犠牲にしても、経済合理性を追求するという発想がもはや成り立たないことも明らかだ」と、市場至上主義を批判。自らが信条とする「友愛政治」の理念に基づいたより人に優しい、「支え合って生きていく日本」を実現するには、「人間のための経済への転換」が必要だと提唱した。

 また高度経済成長をとげた日本が過去十年あまり直面してきたのは、「経済的な疲弊や格差の拡大だけでなく、日本社会を支えてきた地域の絆が切り裂かれつつある」事実だと指摘。毎年3万人以上の自殺者が出ていることなどについて触れ、「そのことの異常を正し、支え合いという日本の伝統を現代にふさわしいかたちで立て直すことが、私の第一の任務」と述べた。

 さらに「『誰もが誰もを知っている』という昔ながらの地縁・血縁型の共同体に戻るのではない、新しい共同体のあり方」とは、スポーツや芸術文化活動、ボランティア活動、インターネットでのつながりなどを活用して「誰かが誰かを知っている」という信頼をベースにした市民ネットワークだと述べ、「それぞれの価値を共有することでつながっていく、新しい『絆』」だと語った。(c)AFP