【10月24日 AFP】国際原子力機関（International Atomic Energy Agency、IAEA）は23日、イランが、同国の低濃縮ウランを国外で再濃縮するという草案に対する回答を来週に延期したと発表した。

　IAEAはイランの低濃縮ウランをロシアで濃縮し、医療用ラジオアイソトープを製造するための実験炉で使う核燃料を作るという案を関係各国に示し、23日までに回答するよう求めていた。フランス、ロシア、米国はすでにこの草案の受け入れを表明している。

　IAEAの声明によるとイランは「草案を徹底的かつ前向きに検討しており、回答するには来週中ごろまで時間が必要だ」と通知してきたという。

　欧米諸国はイランが23日の回答期限を越えることを認めないとしていたが、米国務省のイアン・ケリー（Ian Kelly）報道官は、数日であればイランの回答を待つと述べた。

　提案の詳しい内容は明らかにされていないが、フランスによると、ナタンツ（Natanz）にある1200キロを超えるイランの低濃縮ウラン（LEU）を年内にロシアに運び、医療用ラジオアイソトープを製造する実験炉の核燃料として利用できる19.75％にまで濃度を高める計画だという。外交筋によると、ロシアは濃縮したウランを燃料棒に加工する作業をフランスに委託する意向だという。

　イランはIAEAの提案を受け入れたとしても、ナタンツでのウラン濃縮は続けるとしている。また、イランの核開発計画に強硬に反対していたフランスが関与することに難色を示している。

■イランの本音は核燃料購入か

　イランの国営テレビのウェブサイトは、オーストリアのウィーン（Vienna）で行われた協議に近いイラン側の関係者が、「イランは核燃料の購入者なのであり、核燃料を販売する側が自分たちの見解を『肯定的な反応』だと考えてはならない。イランは肯定的で建設的な提案を持ってウィーンでの交渉に入った。現在イランは、ほかの協議参加国からの建設的、肯定的な反応を待っているところだ。イランは（核開発計画の）透明性と善意を示したのだから、ほかの協議参加国も建設的かつ信頼の醸成に寄与するような対応をとることを期待する」と語ったと伝えた。

■新濃縮施設の査察24日から

　IAEAは24日、テヘラン（Tehran）からシーア派の聖地コム（Qom）に向かって南に約100キロの地点にある、イランとして2か所目のウラン濃縮施設に査察官を派遣する予定だ。この施設は前月になってその存在が明らかにされた。国営イラン通信（IRNA）によると査察は2～3日かけて行われる予定。(c)AFP/Simon Morgan