【10月23日 AFP】パリ(Paris)郊外の公的機関トップへの就任が取りざたされていたニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)仏大統領の次男、ジャン・サルコジ(Jean Sarkozy)氏(23)が22日、就任を取りやめることを明らかにした。ジャン氏がフランス2(France 2)テレビの番組で明らかにした。

 現在ソルボンヌ大学(Sorbonne)の2年生で法律を学ぶかたわら、パリ郊外の県の県議会議員を務めているジャン氏がパリ近郊のビジネス街、ラ・デファンス(La Defense)地区を監督するデファンス地区開発公社(EPAD)のトップに就任する可能性が報じられてから、激しい反対の声が上がっていた。

 マスコミに「ジャン王子」と揶揄(やゆ)されたジャン氏は、「身びいきされたと思われるのは避けたい」と述べるとともに、世論を操作しようと自分についてうその情報を流されたとして、就任に反対した人々を批判した。ただし、EPADの役員を選ぶ選挙に出たいとは考えているという。

 就任断念は「(マスコミという)オオカミの群れに投げ入れられた」とまで語ってジャン氏を擁護し、支持者からも選挙への悪影響を懸念する声が上がっていたサルコジ大統領にとって痛手になるとみられる。

 高層ビルが立ち並ぶラ・デファンス地区にはトタル(Total)やソシエテ・ジェネラル(Societe Generale)など同国を代表する約2500社の本社があり、およそ15万人が働いている。地元の反対派リーダーがオンラインで行った反対の署名には、短期間に数千人が署名した。

 今回の件はフランス内外で厳しい批判を集め、ルモンド(Le Monde)紙はジャン氏の就任を「専制君主的」と報じていた。野党社会党(Socialist Party)のスポークスマンは、ジャン氏の決断は、サルコジ大統領がフランス国民の大半の憤りの圧力に屈したことを示していると述べた。(c)AFP/Rory Mulholland