【10月22日 AFP】韓国の情報機関、国家情報院(National Intelligence ServiceNIS)付属の国家安保戦略研究所(Institute for National Security Strategy)所長、南成旭(ナム・ソンウク、Nam Sung-Wook)氏が21日、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記(67)と三男ジョンウン(Kim Jung-Un)氏の間で軍人事をめぐる対立があり、その後、同総書記がジョンウン氏を後継者として打ち出す宣伝キャンペーンを止めているとする見解を明らかにした。

 南氏によると、金総書記の義弟で一時は「右腕」と知られ、ジョンウン氏にとってはおじにあたる張成沢(チャン・ソンテク、Jang Song-Thaek)氏もこの一件の後、政府中枢から外されているとみられる。前日ソウル(Seoul)市内で同氏が出席したフォーラムの録音が22日に公開され、明らかになった。

 金総書記の後継者に関する憶測は、総書記が前年8月、脳梗塞をわずらった後に本格的に飛び交いだした。以降、兄弟のなかで一番下の三男ジョンウン氏が後継者に内定したとの報道が広まっていた。

 韓国高官など情報筋によると、08年末から北朝鮮の国営メディアはジョンウン氏後継の正統性を喧伝するプロパガンダを強めていたが、7月中旬ごろになって突然、そうした広報活動が停止した。代わって北朝鮮政府は、現政権の下での一致団結を呼び掛けていると、韓国統一省の洪良浩(ホン・ヤンホ、Hong Yang-Ho)次官が10月に入り指摘していた。

 南氏によると、ジョンウン氏は6月か7月に軍の人事について総書記と「衝突した」とみられる。その結果、ジョンウン氏の態度を時期尚早とみた総書記が、同氏と張成沢氏の影響力を抑え込むようになったという。

 南氏は、最終的な後継者計画が変更されたかどうかについては触れなかったが、8月以降、後継者問題に関する話題はひそまっており、ジョンウン氏の後継人とみられている張氏も、以前ほど公に姿を見せていないと指摘した。

 一方で韓国のある議員は極秘報告書を根拠に、2010~2012年の間にジョンウン氏が後継者に指名されることが予測されると語っている。(c)AFP