【9月20日 AFP】ロシアのウラジーミル・ポポフキン(Vladimir Popovkin)国防次官は19日、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領がミサイル防衛(MD)システムの東欧配備計画を見送る意向を発表したことを受け、ロシア政府も欧州連合(EU)と接するロシア西部カリーニングラード(Kaliningrad)へのミサイル配備計画を撤回すると発表した。出演した露ラジオ局「モスクワのこだま(Echo of Moscow)」で明らかにした。

 ポポフキン次官によると、カリーニングラードへの配備計画には新型ミサイルシステム「イスカンデル(Iskander)」の配備も含まれている。

 米前政権でジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)前大統領が推進していたチェコへのレーダー施設建設と、ポーランドへの迎撃ミサイル配備計画に対し、ロシアは強硬に反対姿勢を示していた。 

 ロシア政府筋は18日、米側の政策変更によって、ロシア政府側もイランの核開発計画により厳しい立場をとるなど、なんらかの歩み寄りを求められることになるだろうと語っていた。ロシア軍も同日、短距離地対地ミサイルであるイスカンデルの配備計画撤回を発表したが、実行に移されれば、米政府の動きに対するロシア側の初めての具体的反応といえる。

 ポポフキン次官は「カリーニングラードが北大西洋条約機構(NATO)に囲まれていることは分かっている。それゆえ欧米側の軍事同盟から否定的な反応が起こるのは当然だろう」と述べ、当初のイスカンデル配備計画が欧米側への刺激を狙った「政治的なもの」だった点を認めた。

 ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)首相も18日、「スターウォーズ計画」(戦略防衛構想、SDI)を撤回するとしたオバマ大統領の決断を「正しく勇気ある決断」と評価していた。(c)AFP