【9月3日 AFP】米国の非営利組織(NPO)「政府監視プロジェクト(Project On Government OversightPOGO)」は1日、アフガニスタンの在カブール(Kabul)米大使館で警備員の規律やモラルが乱れており、いじめも横行しているとの報告書を発表した。POGOはヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)米国務長官あてに、この報告書を送付したという。

 報告書でPOGOは、大使館の警備員や管理責任者450人の約10分の1から報告を受けたため、調査を開始したと説明。孤島に置き去りにされた少年達が凶暴化する様子を描いたウィリアム・ゴールディング(William Golding)氏の著作、『蠅(はえ)の王(Lord of the Flies)』を引き合いに出し、POGOは、「まるで『蝿の王』のような状況を示す」動画や写真、電子メールを多数入手したと述べた。

 POGOは、「目に余る契約違反の横行や、指揮系統、警備要員としての規律やモラルの崩壊についての証拠を提供し、懸念を表明するため」に報告書を作成したと述べ、米外交官やアフガニスタン人など約1000人の職員が勤務する大使館の安全が損なわれていると指摘した。

 また、「いじめや部下の虐待」に警備員や管理責任者が関与していることを示す証拠写真も提供。大使館の警備を担当する「アーマーグループ・ノースアメリカ(ArmorGroup North AmericaAGNA)」に問題行動をとる従業員に対する管理の強化を求めたが、拒否されたとしている。

 さらに、ネパール出身者と他の警備員との間に言葉の障壁があることを指摘し、「国務省は問題を認識しながら改善していない」と批判した。

 米国務省のイアン・ケリー(Ian Kelly)報道官は、記者団に対し、報告書を深刻に受け止めると語った。(c)AFP