【9月1日 AFP】台湾訪問中のチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ(Dalai Lama)14世は8月31日、台風により少なくとも424人が犠牲になった南部の高雄(Kaohsiung)県小林(Hsiaolin)村を訪問した。ダライラマは同地で、台湾の民主主義をたたえる発言を行った。

 ダライ・ラマは、「あなた方は民主主義を享受しており、それを大事にしなければならない。わたしの友人たちがどの党に所属していようが、わたしは友人たちにこう伝える」と語った上で、「わたし自身は、民主主義の促進にすべてをささげている」と強調した。

 一方、中国寄りの与党議員らは、ダライ・ラマとの面会の予定はないとしている。台湾の馬英九(Ma Ying-jeou)総統は、過去2回のダライラマ訪台では面会を行ったが、今回は面会の予定はない。

 ダライ・ラマは、今回の訪台について、台風の被災地を慰問するためだけのものだとしているが、中国側は、中台関係の進展を阻害するものだと警告している。また、滞在先のホテル前では、約30人が今回の訪問を政治活動だとして抗議するデモ行進を行った。

 ダライラマは同日に記者会見を予定していたが、台湾の与党・国民党(KuomintangKMT)幹部が、中国側が問題視する発言が行われかねないとして懸念を示したことから、中止になった。また、高雄にある1万5000人収容のスタジアムで予定されていたダライ・ラマの説教も、わずか1200人しか収容できない滞在先のホテルの1室で行われることになった。(c)AFP/Amber Wang