【8月29日 AFP】オーストラリアのケビン・ラッド(Kevin Rudd)首相は27日夜、オーストラリア国立大学(Australian National University)で学生を前に講演し、北京大使館に勤務していたころ誤訳によって伝えたい感情がいともたやすく損なわれてしまった失敗談を披露、最近の中国との緊張関係について深刻ではないとの考えを示した。

 ラッド首相は元外交官で中国語に堪能。また、親中家を自認している。

「わたしは、ある表現を古風な言い回しにしようとしたところ『中国とオーストラリアは現在、お互いに最高のオーガズムを感じている』と言ってしまった」(ラッド首相)

「それ以来、中国の友人たちはわたしの北京滞在を思い出して、『ああ、あなたがあの発言をした・・・』と言う」

 ラッド氏は、「この話は現在の中国との関係の課題の一端を説明していると思う」と語った。

■オーストラリアと中国の緊張関係

 中国当局が、英豪系資源大手リオ・ティント(Rio Tinto)の上海駐在幹部らを「商業機密侵犯および贈賄」の容疑で拘束したことをめぐり、過去数か月にわたって中国とオーストラリアは激しい非難の応酬を続けており、両国の関係は緊張している。

 また、オーストラリアが、世界の亡命ウイグル人組織を束ねる「世界ウイグル会議(World Uighur Congress)」のラビア・カーディル(Rebiya Kadeer)さんに査証(ビザ)を発給したことに対しても、中国は強い不快感をみせた。

 前年のオーストラリアと中国の二国間貿易は580億ドル相当。中国における金属などの資源需要の高まりは、過去10年にわたるオーストラリア経済の成長を支えてきた。急速な成長を続ける中国は、オーストラリアの資源採掘企業を次々と買収している。(c)AFP