【8月11日 AFP】レバノンのイスラム教シーア(Shiite)派武装組織ヒズボラ(Hezbollah)指導者のハッサン・ナスララ(Hassan Nasrallah)師(49)が、ネット上の「セレブ」となっている。米ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)大手フェースブック(Facebook)には、ナスララ師を好きな人、嫌いな人が集うフォーラムが優に20を超えているのだ。

 フォーラムは、「ナスララ師のファン」から「ハッサン・ナスララの暗殺を願う者」まで多岐にわたり、「あなたに神のご加護がありますように」「地獄で焼かれろ」「あなたは尊厳と抵抗のシンボル。神はあなたと共にあります」「お前は呪われたナチスだ」といったコメントが英語・フランス語・ヘブライ語・アラビア語で寄せられる。こうした発信者の多くがレバノン人やイスラエル人だ。

■イスラエルとヒズボラとの「7月戦争」

 イスラエル軍は2006年7月、ヒズボラが国境を越えてイスラエル兵2人を拉致したのをきっかけに、ヒズボラに対し34日間にわたる激しい戦闘を展開。レバノン側に民間人を中心とした1200人の死者、イスラエル側に兵士を中心とした160人の死者を出し、レバノンのインフラの大部分を破壊した。

 あれから3年。このいわゆる「7月戦争」については、今でもオンライン・フォーラム上で激論が交わされている。

 拉致された2兵士の遺体は2008年になってイスラエルに返還されたが、フランス語のフォーラム『ハッサン・ナスララを消すために』は、イスラエル政府に対し、「2人のかたきをとるためにナスララを討伐」することを要請している。

 なお、ナスララ師に対する評価はレバノン国内でも分かれている。『ヒズボラを今すぐレバノンから追い出そう!』なるフォーラムでは、メンバーたちが「レバノンへの大きな脅威」と指摘するヒズボラへの憎悪に満ちたコメントが飛び交っている。

■イスラエル人の投稿に・・・

 ナスララ師は、レバノンの首都ベイルート(Beirut)のとある場所に住んでいるとされるが、この1年あまり公には姿を見せていない。ソーシャルネットワーキングサイトでの登場回数も増えているとは言えない。

 ビジュアル面では、庭で子どもにほほ笑みかけている写真や少女を抱きしめている写真など、ナスララ師の優しい面を強調する写真を投稿するグループがいれば、ビキニ姿のナスララ師やゴキブリになったナスララ師の風刺画を掲載するグループもいる。

 ヒズボラに対しては、イスラエルの人々も言いたいことがたくさんあるだろう。あるイスラエル人が「考えてもみろよ。レバノンは2006年までは繁栄して、旅行客も大勢訪れていたんだ。それなのに、ナスララのせいで今や不毛の地だ」と書き込んだところ、「お前の国がレバノンを破壊したんだ」「イスラエルはレバノンの第一の敵だ」「だまれ。穴に隠れてろ」といった反撃が返ってきた。(c)AFP/Rana Moussaoui