【8月11日 AFP】韓国・現代(Hyundai)グループの玄貞恩(ヒョン・ジョンウン、Hyun Jung-Eun)会長は10日、北朝鮮に3月から拘束されている同グループ社員の釈放交渉のため、軍事境界線を陸路で越えて北朝鮮入りし、平壌(Pyongyang)に到着した。

 北朝鮮に拘束されているのは、開城(Kaesong)工業団地に進出している現代峨山(Hyundai Asan)の韓国人男性技術者。北朝鮮の政治体制を批判し、女性従業員に脱北をそそのかしたとして、3月30日に北朝鮮当局に身柄を拘束された。

 以来、北朝鮮は韓国政府による同社員への接触を拒否しており、社員が拘束されている場所もわかっていない。

 しかし、前週には、ビル・クリントン(Bill Clinton)元米大統領の電撃訪朝で、米国人記者2人が釈放されていることから、韓国メディアでは韓国人社員の釈放も近いとの憶測が出ている。

 軍事境界線の韓国側で記者会見に臨んだ玄会長は、社員の釈放に向け「できるだけ努力したい」と語った。

 玄会長は、韓国人社員の釈放のほか、北朝鮮での観光事業再開や南北間ビジネスの発展などについても、北朝鮮側と協議するものとみられる。玄会長は、12日まで北朝鮮に滞在する。

 玄会長は2007年にも訪朝しており、その際に金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記と面会しているが、現代峨山の広報によると、現段階では今回の訪朝で金総書記との会談は予定されていないという。

 前年に対北強硬派の李明博(イ・ミョンバク、Lee Myung-Bak)氏が韓国大統領に就任して以来、韓国と北朝鮮の関係は冷え込んだ状態が続いている。さらに、北朝鮮が4、5月にミサイル発射や核実験を実施したことで、南北間の緊張が高まっている。(c)AFP