【8月4日 AFP】世界の亡命ウイグル人組織を束ねる「世界ウイグル会議(World Uighur Congress)」のラビア・カーディル(Rebiya Kadeer)さんは4日、オーストラリア入りし、カーディルさんの実子たちが「新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)で起きた暴動を扇動したのはカーディルさんだ」と非難したという報道について、中国政府が強制したもので実子たちの本意ではないと否定した。

 米国系ラジオ放送局、自由アジア放送(Radio Free Asia)に対しカーディルさんは、中国国営の新華社(Xinhua)通信が、自分の子どもたちに強制的に発言させていると語った。

 中国政府が死者197人と発表している前月のウイグルの暴動について、カーディルさんの暴動関与を非難した親族の手紙の内容が前日、報道されていた。カーディルさんは自由アジア放送に「中国は力がある。彼らはわたしの子どもが話すことをコントロールし、わたしに対する批判をさせることができる。けれど、わたしと子どもたちの間に神が作ってくれた愛情をコントロールすることはできない」と述べた。

 また「あの手紙を誰が書いたのか勘ぐるほどのこともない。わたしは自分の子どもたちを知っている。自分の親がもしも誤ったことをしたのであっても、自分の親を非難したい人間なんていない」と語った。

 前日、中国のメディアはいっせいに、カーディルさんの息子と娘、それに弟が書いたとされる手紙2通の内容を伝えた。新華社によると、1通はカーディルさんにあてたというもので、「あなたのせいで7月5日、すべての民族集団の無実の人びとが大勢、命を失った。財産や店、自動車なども大きな打撃を受けた」と記されていたという。

 2通目は親族から暴動で亡くなった人の遺族にあてたものとされ、暴動を「組織したのはラビア・カーディルが率いる世界ウイグル会議で、(ウイグル自治区の)中国国内の分離派のグループが実行したもの」などと記されていたとされている。

 亡命先の米国に拠点を置くカーディルさんは、10日の日程でオーストラリアに滞在するためシドニー(Sydney)に到着した。自らの人生を描いたドキュメンタリー映画『The 10 Conditions of Love』が公開される映画祭に出席するほか、同国内のウイグル人コミュニティのメンバーたちとも会見を予定している。(c)AFP/Amy Coopes