【7月29日 AFP】米国と中国は28日、米中が緊密な協力関係を結ぶ新時代の幕開けへ向け、気候変動や自由貿易、イラン問題など多くの課題で協力してゆくことで合意した。

 米国と中国が外交・経済分野の問題について協議を行う「米中戦略・経済対話(US-China Strategic and Economic Dialogue)」は、なごやかな雰囲気のなか閉幕した。記者会見では、中国高官がバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領から贈られたサイン入りのバスケットボールで遊ぶ様子もみられた。

 一方で、ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)米国務長官は、広範な課題での対話を増やしていくことで合意はしたものの、具体策に踏み込むというよりも意見交換という側面が強かったと認めている。

 クリントン長官は、記者団に対し「基盤作りはただちに多くの具体的な成果を生み出すものではないが、信頼関係と理解を深めることは将来への非常に良い投資だ」と語った。

 また、ティモシー・ガイトナー(Timothy Geithner)米財務長官は、世界経済の回復のために米中が協力してゆくことで合意し、経済の回復過程における保護主義には断固として立ち向かうと語った。

 ガイトナー長官は、米中両政府が、自国の公共事業受注で外資系企業を国内企業と同等に扱うことで合意したと述べた。また、中国が国内消費の役割を拡大させ、輸出主導型の経済を内需拡大に転換することを約束したと語った。

 米中は北朝鮮やイランについても協議を行った。クリントン長官は、イランが核兵器開発を行えば同地域での軍拡競争を「不安定化」させる懸念があるとの見方で一致したと述べた。

 さらに、温室効果ガスの最大の排出国である米中両国は、気候変動対策を米中関係の柱であるとした覚書に署名した。具体的な成果はほとんど出なかったものの、米中は12月の国連気候変動枠組み条約(UN Framework Convention on Climate Change、UNFCCC)第15回締約国会議(COP15)での新たな国際条約の締結に向け、環境問題で協力するための委員会を設置する意向を表明した。(c)AFP/Shaun Tandon and Veronica Smith