【7月22日 AFP】イタリアのシルビオ・ベルルスコーニ(Silvio Berlusconi)首相(72)の買春疑惑で、買春の証拠を示しているとみられる新たな録音テープが21日、公開された。疑惑を受け、ベルルスコーニ首相の支持率は下落している。

 前日に続き左派系有力誌エスプレッソ(L'Espresso)のウェブサイトで公開された2本目のテープは、売春婦のパトリツィア・ダダリオ(Patrizia D'Addario)さん(42)とされる女性と、ベルルスコーニ氏と関係を持つことに対しダダリオさんに金銭を支払ったとされる仲介役の男性が、「条件」について話し合っている場面を録音したもの。

 録音では、仲介役のジャンパオロ・タランティーニ(Giampaolo Tarantini)氏とされる男性が、ダダリオさんに対し「(ベルルスコーニ氏は)売春婦としての君と寝るのではない。わたしが連れてきた友人として君と寝るのだ」と語っていた。

 また、ダダリオさんは、ベルルスコーニ氏との2晩に対し、1晩につき2000ユーロ(約26万円)の支払いを約束されたとイタリアのメディアに語っていたが、今回公開された新たな音声では、先払いで1000ユーロを支払い、1晩の滞在を終えた時点で残りの1000ユーロを支払うことに関連した会話が交わされていた。

 ほかにも、ダダリオさんは、ローマ(Rome)にあるベルルスコーニ氏の住居で、携帯電話で写真を撮影したことも明らかにしている。また、ダダリオさんは、録音音声を捜査当局に渡したとも述べている。

 プレイボーイで美食家として知られるベルルスコーニ首相は、「女性は自分の力で手に入れるものだ」と語り、買春疑惑を否定している。

■ベルルスコーニ氏の支持率が下落

 音声の公開を受けて、ベルルスコーニ氏の支持率は4%下落。2008年の就任以来初の50%割れとなっている。

 エスプレッソ傘下のレプブリカ(Repubblica)紙が実施した世論調査では、ベルルスコーニ氏の支持率は49%となった。これは、1994年以降の3期のベルルスコーニ政権で最低の支持率となる。

 この結果について、レプブリカ紙は、被災地ラクイラ(L'aquila)での主要国(G8)首脳会議(サミット)の成功が「もっとひどい結果になってもおかしくなかった支持率の下落を緩やかにしたとみられる」と伝えた。

 一方、買春疑惑は、イタリアの経済的苦境から目をそらさせる効果があったとの見方もある。イタリアの09年の国内総生産(GDP)は、前年比5.2%減と予測されている。(c)AFP/Gina Doggett