【7月14日 AFP】北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記(67)の健康状態について、専門家らは14日、悪化しているとはみられるものの、命にかかわるようながんを患っているとのメディアの報道には疑問があるとの見方を示した。

 金総書記の病状については、TBSテレビが10日、すい臓に「重大な疾患」が見つかったと報じ、その後13日に、韓国のニュース専門テレビYTNが、金総書記が膵臓がんを患っており、余命5年未満とみられると伝えていた。YTNによると、金総書記が前年8月に脳卒中を起こした際に膵臓がんと診断されたという。

 これに対し、ソウル(Seoul)を拠点とする専門家らは、金総書記のトレードマークとされる「視察」の報道が増加しているとして、膵臓がんの報道に疑問を投げかけている。

 北朝鮮大学院大学(University of North Korean Studies)の梁茂進(ヤン・ムジン、Yang Moo-Jin)教授は、AFPに対し「信頼性に欠ける話だと思われる」と語った。「もし、脳卒中後の健康悪化や長年患ってきた糖尿病にくわえて、さらに膵臓がんも患っているとすれば、あれほどの仕事量に耐えることはできないはずだ」

 また、韓国・東国大学(Dongguk University)のキム・ヨンヒュン(Kim Yong-Hyun)教授も、「膵臓がんを患っていたら、『視察』など不可能だ」と述べ、「金総書記が膵臓がんにかかっていることを示す特別な動きは、北朝鮮ではみられない」と語った。

 金総書記は、2009年になってから87か所の工場や軍事施設などを視察したと報じられている。前年同時期の視察回数は57回だった。(c)AFP/Jun Kwanwoo