【7月6日 AFP】北朝鮮が今年に入り、核実験とミサイル発射で費やした金額は推計7億ドル(約670億円)で、同国の食糧不足を少なくとも2年間補うに十分な額だと、韓国2紙などが6日報じた。

 朝鮮日報(Chosun Ilbo)は、匿名の政府高官談話に基づいた推計を発表した。4月5日に試射された長距離弾道ミサイル「テポドン2号(Taepodong 2)」だけで3億ドル(約285億円)、またこの数週間で発射された短・中距離ミサイル10発で計1億ドル(約95億円)かかったと見積もっている。うち4日のスカッド(Scud)ミサイル5発、ノドン(Rodong)2発で4300万ドル(約41億円)がかかったと推算している。

 また5月25日に行われた、2006年に続く同国2度目の地下核実験の費用については3~4億ドル(約285~381億円)と推算している。

 中央日報(JoongAng Ilbo)も同様の推計を発表したが、両紙ともに費用計算の手法に関しては明らかにしていない。

■テポドン1発や地下実験1回は食糧調達1年分に相当

 また朝鮮日報は、3億ドルあれば北朝鮮は世界市場で100万トンの米を購入できたはずだという、匿名の政府高官の指摘も報じた。同高官は、100万トンの米で北朝鮮の食糧不足を1年間は乗り切ることができたはずだと述べた。

 国連世界食糧計画(World Food ProgrammeWFP)は08年の研究に基づき、北朝鮮の人口2400万人の三分の一以上にあたる約900万人が食糧援助を必要しているとの予測を発表している。

 計7発を発射した4日は、米国の独立記念日(US Independence Day)にあたり、北朝鮮の核開発やミサイル計画を阻止するために国連(UN)の厳格な制裁を求めている米政府に対する抵抗を示したものだと受け止められている。

 2006年の同じ7月4日にもテポドン2号1発、短距離ミサイル6発を発射しているが、今回はそれ以降では1日で最も多い発射数だった。(c)AFP