【6月29日 AFP】韓国の朝鮮日報(Chosun Ilbo)は29日、北朝鮮が14日にテレビで公開した金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記の軍視察写真が、4月に別の軍部隊を視察した際の写真の使い回しである可能性が高いと報じた。金総書記の健康が悪化している可能性が高まったとしている。

 同紙によると、14日に第7歩兵師団を視察する金総書記として朝鮮中央テレビが公開した写真は、4月25日に国営朝鮮中央通信(Korean Central News Agency)が第851部隊を視察する金総書記として配信した写真と同一のものに手を加えた可能性が高いという。

 2つの写真はともに金総書記が前列中央に立つ集合写真で、それぞれ背景のスローガンや天井のライトが全く同じことから、6月の写真は4月の写真から前列の両端に立つ人物を削除処理したものと考えられるとしている。

 また、6月に公開された写真の金総書記は、季節が初夏であるにもかかわらず冬物のジャケットを着用している点を指摘した。

 この2師団は北朝鮮東部の元山(Wonsan)に駐屯していることから、韓国国家情報院(National Intelligence ServiceNIS)では、北朝鮮が同時期に撮影された写真を、日付をかえて公開したとみているという。

 これについて北朝鮮情勢の専門家、南柱洪(ナム・ジュホン、Nam Joo-Hong)京畿大学(Kyonggi University)教授は、「4月の写真をもとに金総書記の健康を装う写真を公開したのが事実であれば、体制がかなり不安定化しているとみていい」と話している。(c)AFP