【6月24日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は23日、ホワイトハウス(White House)で記者会見し、大統領選後の混乱が続くイランでの抗議デモの弾圧について怒りをあらわにし、デモ中に撃たれて死亡した女性の動画については「胸が痛む」と述べた。

 長い間敵対関係にあるイランとの対話については今回の事態が収拾されるかにかかっているとし、初めて対話に関する方針を示した。1月の就任以来、オバマ大統領はブッシュ前政権が拒否してきたイランを含む米国と敵対する国との対話路線を主張してきた。

「米国および国際社会はここ数日の脅し、暴力、投獄などにがくぜんとし憤慨している。このような不当な行為を強く非難する。失われた無実の命に対し、哀悼の意を表する」と述べた。

 デモを見学中に胸を撃たれ死亡した女性ナダ(Neda Agha-Soltan)さんの動画について聞かれると、「胸が痛む。見た人すべてが何か根本的におかしいと思っているだろう」と述べた。

 オバマ大統領はイランの問題に対し、イラン政府が主張するような内政干渉はしていないと一蹴(いっしゅう)した一方、「イラン国民の勇気や威厳の証人とならなければならない」と述べた。

 また、自身の発言がイランで意図的に誤訳されていると指摘。「わたしがイランで暴徒にもっと暴動を起こすようあおったと誤訳されている。その背後には米中央情報局(Central Intelligence AgencyCIA)がいることをほのめかすような報道もある。これらはすべて明らかに事実ではないが、そのような筋書きを演じたいというイラン政府の意図が感じ取れるだろう」と述べた。

 オバマ大統領は、抗議行動を起こしたイラン国内の改革派に対する同情を示しつつ、イランの内政に干渉しているとの批判をかわすため、慎重にバランスを取ろうとしている。

 オバマ大統領がホワイトハウスで1人で記者会見を行ったのは就任100日目の会見を行った4月以来で、大統領就任後4回目。この日の会見ではイラン問題の他、金融危機への対応、地球温暖化問題、医療保険改革についても言及した(c)AFP/Stephen Collinson