【6月21日 AFP】大統領選後の混乱が続くイランで20日、改革派支持者数千人がテヘラン(Tehran)中心部で警官隊らと衝突した。前日に最高指導者アリ・ハメネイ(Ali Khamenei)師が改革派支持者らに抗議行動を中止するよう求めていたが、これを無視する形になった。

 選挙後の抗議集会を組織してきた団体の1つ、「戦う聖職者協会(Combatant Clerics Assembly)」は当局の許可が得られなかったため集会を中止したが、大統領選で敗れた候補者たちの支持者が集まったと述べた。

 20日の抗議集会はこれまでのものと同様に外国メディアの取材が禁じられた。目撃者がAFPに語ったところによると少なくとも1人が銃撃を受けて負傷した。 一方、テヘラン南部にある革命指導者故ルホラ・ホメイニ(Ruhollah Khomenei)師の霊廟で男が自爆し、実行犯が死亡、外国人2人を含む3人が負傷した。

 警察はテヘラン中心部のエンゲラブ広場(Enghelab Square)に集まった群衆に催涙ガスや放水銃を使用したが抗議行動は続いた。抗議行動に参加したある男性は、「男も女も警察に殴られ、体中傷だらけになった。私のカメラも取り上げられた」と語った。

 別の参加者は、「バイクに乗った治安要員たちが近づいてきて警棒で私たちをひどく殴りつけた。裏通りに逃げるとそこには革命防衛隊傘下の民兵部隊「バシジ(Basij)」が待ちかまえていたが、付近の住民が家に入れてくれた」と語った。バシジは大統領選後の抗議行動を抑え込む上で前面に出ている。

 国営テレビによれば、ミルホセイン・ムサビ(Mir Hossein Mousavi.)元首相ら落選した候補者たちが選挙違反があったと主張していることを受け、選挙結果の最終的な承認権を持つ護憲評議会 (Guardians Council)は、無作為に抽出した投票用紙の最大10%を再集計する用意があると述べている。

 1979年のイラン革命後最大の政治危機に直面しているイランの指導者層は外国による介入を非難しているが、欧米諸国はイランへの内政干渉ではなく、普遍的な人権を守ろうとしているだけだと主張している。(c)AFP/Jay Deshmukh