【6月11日 AFP】自宅軟禁条件に違反したとして、ミャンマーの軍事政権に起訴された同国の民主化指導者アウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)さんが、今回の裁判は「政略だ」と語った旨を、スー・チーさんの弁護士が11日、明らかにした。

 発言を伝えたのは、スー・チーさんが率いる国民民主連盟(National League for Democracy、NLD)の広報担当で弁護人を兼任するニャン・ウィン(Nyan Win)氏。10日に拘置されているスー・チーさんと面会した際に、スー・チーさんの発言を聞いた。

 また、ニャン・ウィン氏ら3人による弁護団は11日、上級審である高等裁判所に対し、特別法廷に拒まれた弁護側証人2人の採用を認めるよう抗告した。同氏によると、この抗告に関する審理は17日に行われ、弁護側証人追加が認められた場合、その先の裁判日程はずれ込む見込み。

 弁護側が採用を求めている証人は、前年9月までミャンマーで最長期間投獄されていた元政治囚ウィン・ティン(Win Tin)氏と、スー・チーさんと同じく自宅軟禁されているNLDのティン・ウ(Tin Oo)副議長。

 ニャン・ウィン氏によるとスー・チーさんはまた、軟禁・拘束期間は5月26日に正式に期限を迎えたはずなのに、自宅を依然当局が警備している点について不満を表した。

 スー・チーさんは現在、ヤンゴン(Yangon)の悪名高いインセイン(Insein)刑務所内に拘束されているが、警察からは5月に自宅軟禁の終了を告げられたにもかかわらず、掃除を引き受けてくれている友人たちが、スー・チーさん邸への出入りを禁じられていると語ったという。治安要員側はこれについて、上層部からの指示を待っていると回答したという。

 スー・チーさん宅へ湖を泳いで密かに侵入した米国人男性のジョン・ウィリアム・イエットー(John William Yettaw)さんをかくまったとして、スー・チーさんは起訴された。世界的に抗議を巻き起こしている同裁判は、12日に再開する予定。(c)AFP