【6月10日 AFP】ペルー北部でアマゾン(Amazon)の熱帯雨林の権利をめぐり発生した先住民と警官隊の衝突は、少なくとも34人の死者を出し、9日に入ってからは緩和の兆候が見え始めている。しかしその一方で、政府の対応に抗議して閣僚が辞任するなどの騒ぎも起きており、同国のアラン・ガルシア(Alan Garcia)大統領には重圧がのしかかっている。

 アマゾン熱帯雨林の土地の権利をめぐり当局と一触即発のにらみ合いを続ける中、熱帯雨林を通る主要高速道路の封鎖を続けている先住民らは9日、当局に対する限定的な譲歩として、少数の車両の通行を許可した。

 抗議を続けている先住民らは、ペルー政府が同国国内のアマゾン熱帯雨林での採鉱、石油採掘、森林伐採、耕作の規制を緩和したことに対し、怒りを爆発させた。25の民族の先住民ら約3000人は、数日間にわたり、首都リマ(Lima)の北700キロメートル付近にあるタラポト(Tarapoto)とユリマグアス(Yurimaguas)を結ぶ高速道路を封鎖している。

 当局との交渉の末、先住民らは9日、往路と復路をそれぞれ2時間ずつ、計4時間にわたって車両の通行を許可した。一方で、今回の通行許可は例外的であることを強調した。

 先住民族の指導者Hernan Kariaja氏は、「政府が法律を撤回するまでここから動かない」と語った。

 先住民らは、先祖伝来の土地と考えているアマゾン熱帯雨林で石油採掘、森林伐採を許可する法令に、アラン・ガルシア大統領が2007年と08年に署名したことに対し、これまで1年近くにわたって抗議行動を続けてきた。

■衝突の影響で閣僚辞任

 衝突の影響は首都リマにもおよび、9日夜にはカルメン・ビルドソ(Carmen Vildoso)女性問題・社会開発相が、政府の弾圧に抗議して辞任した。イェウデ・シモン(Yehude Simon)首相は、抗議デモ参加者に殴打されて血まみれになった警官の過激な写真が政府のテレビCMで使用されたことに対し、ビルドソ氏が心を痛ませていたと述べた。シモン首相も、衝突の影響で辞任する可能性が出ている。

 また、ペルー議会は同日夜、緊急会合を開催し、争点となっている法令の撤回や一時停止を協議した。(c)AFP/Roberto Cortijo