【6月10日 AFP】イランでは12日、大統領選挙が行われる。候補者のテレビ討論会が異例の中傷合戦となるなど、投票日が近づくにつれイラン国内は選挙ムード一色になっている。

 大統領選には現職のマフムード・アフマディネジャド(Mahmoud Ahmadinejad)大統領と穏健派のミルホセイン・ムサビ(Mir Hossein Mousavi)元首相、改革派のメフディ・カルビ(Mehdi Karroubi)元国会議長、保守派のモフセン・レザイ(Mohsen Rezai)元革命防衛隊司令官の4人が出馬している。だが、選挙選は、事実上、アフマディネジャド大統領とムサビ氏の一騎打ちの様相を呈している。

 現在、イランの有権者は4620万人で、うち半分が1979年のイラン革命後に生まれた世代だ。イラン中央選管トップのキャムラン・ダーネシュジュー(Kamran Daneshjoo)氏は8日、今回の大統領選について、「選挙を台無しにしようと企む高慢な諸国(欧米諸国)のプロパガンダにもかかわらず、過去最高の投票率になる」との見方を示した。

 専門家は、今回の選挙の当選者をはっきり予測することをためらっている。今回の大統領選は、比較的無名に近かったアフマディネジャド氏が実力者のアクバル・ハシェミ・ラフサンジャニ(Akbar Hashemi Rafsanjani)師を破り、大番狂わせと言われた2005年の大統領選の再来になるかもしれない。

 12日の投票で、全得票数の50%プラス1票の得票を得た単独の候補者がいなかった場合は、19日に決選投票が行われる。アフマディネジャド氏が敗れた場合、史上初めて1期4年で職を去る現職大統領となる。

 モハマド・ハタミ(Mohammad Khatami)前大統領などの改革派は、ムサビ氏支持を表明している。また、反大統領派グループは、有権者に投票に行くよう呼びかけている。

 政治アナリストのマシャラ・シャムソルバエズ(Mashaallah Shamsolvaezin)氏はAFPに対し、「投票率が50%だった場合はアフマディネジャド氏有利。だが、約3500万人が投票した場合、同氏にとっては非常に不利な状況になる」と指摘した。

 シャムソルバエズ氏はさらに、有権者の50%は強硬派に反対の姿勢を示すいわゆる「声なき有権者」と言われる層で、この層の投票率が上がった場合は、アフマディネジャド氏が敗北する可能性もあると強調した。(c)AFP/Jay Deshmukh