【6月8日 AFP】北朝鮮の国営ラジオは8日、金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記が、家族との時間や休日を返上して国家のために尽くしていると報じた。

 韓国の聯合(Yonhap)ニュースが聴取した北朝鮮の国営ラジオによると、金総書記は、2月16日の67歳の誕生日の際に、「休日をとり、家族といっしょに休憩したいという欲があることは否定できないが、国民の生活を心配に思う気持ちがあまりに強く、それはできなかった」と語った。08年12月から09年2月半ばまでの期間のうち、およそ2か月分の日数を視察に費やしたのだという。

 金総書記は前年8月に脳卒中に見舞われたとみられており、最近撮影された写真では、やつれ、以前よりも年老いて、やせ細った姿が写されている。しかし、北朝鮮の国営メディアによると、金総書記は今年に入ってから、公式の場に出席する頻度を3倍に増やしたという。同メディアは、金総書記が「人間は鉄で出来てはいないのだから、体をいたわらなければならない。しかし、わたしにはそのような時間がないのだ」と視察中に語ったと伝えた。

 4月5日のロケット発射から2日後の報道では、資金を、人びとの生活の向上のためではなく、ロケットの発射に使用しなければならないことに金総書記が「むせび泣いていた」と報じられた。金総書記は、「それでも、国民は分かってくれるはずだ」と語ったという。

 北朝鮮は、1990年代に飢饉(ききん)に見舞われ、数十万人が死亡した。現在も、深刻な食糧不足を軽減するために、外国からの食糧支援に頼らざるを得ない状況だ。(c)AFP