【6月5日 AFP】米国人女性記者2人が北朝鮮に拘束されている問題で、2人の解放に向けた交渉を行うため、米国がアル・ゴア(Al Gore)前米副大統領を北朝鮮に派遣する可能性が浮上している。

 イアン・ケリー(Ian Kelly)米国務省報道官は4日、ゴア氏派遣の妥当性について問われ、「非常に慎重に扱うべき問題であり立ち入った発言は控える」としつつも、可能性は否定しなかった。ゴア前副大統領は、記者2人が所属している米カリフォルニア州テレビ局の会長を務めている。

 米カレントTV(Current TV)のローラ・リン(Laura Ling)記者とユナ・リー(Euna Lee)記者は、今年3月、北朝鮮と中国の国境付近で取材中に身柄を拘束された。北朝鮮当局は、2人を不法入国と「敵性行為」で起訴したと発表した。 

 国営朝鮮中央通信(Korean Central News AgencyKCNA)は4日、2人の裁判を現地時間午後3時から同国の最高裁判所に当たる中央裁判所で開始すると伝えたが、その後、詳細および裁判の進展状況に関する最新情報は報じられていない。

 裁判の結果によっては2人が数年間、強制労働収容所に送られる可能性もあることから、前月25日の核実験実施以降、緊張が高まっている米朝関係は一層緊迫している。

 同問題について専門家は、北朝鮮の核保有問題をめぐり、米朝の直接交渉に持ち込みたい北朝鮮政府が、2人を米政府との取引材料として利用する可能性があると指摘している。(c)AFP