オバマ米大統領エジプト演説、イスラム世界との「新たな始まり」を
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【6月4日 AFP】エジプトを訪問中のバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は4日、カイロ大学(Cairo University)でイスラム社会全体に向けて演説し、イスラム世界と米国の関係構築の「新たな始まり」を呼び掛けた。
重要演説のひとつに数えられることになろうこの演説で、オバマ大統領は「疑念と不和」によるくすぶりの循環が続いたイスラム世界と米国の関係の先に、平和の展望を描いてみせた。中東和平プロセスの今後の道筋を提示し、不信の関係を終わらせ、パレスチナ国家建設と、核問題をめぐるイランとの対立解消を実現すると誓約した。
丸屋根を抱いたカイロ大学の大講堂で、聴衆にスタンディング・オベーションで迎えられて演壇に上ったオバマ大統領は「われわれの関係が『違い』によって定義されている限り、平和よりも憎悪を広める者たちに力を与えるだけだ」と語った。
「今日わたしがカイロに来たのは、米国と世界のイスラム教徒にとって新たな始まりを求めるためだ」。演説は全世界15億人のイスラム教徒に向け、テレビ、インターネット、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)などを通じて発信された。「恐怖と不信があまりにも満ちている。しかし過去に縛られることを選んでいては、われわれは前進しない」
■中東和平
オバマ大統領はまず中東和平に触れ、米国に対するアラブ世界の不信の根源となっているイスラエルとの関係については「壊れることはない」と明言。第2次世界大戦中の独ナチス(Nazi)によるホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)の史実を否定する言論に至っては「無知だ」と批判した。
しかし、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)前米大統領の政策とは決別し、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)のユダヤ人入植地拡大を止めないイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)政権を非難し、持論のパレスチナ国家樹立を認める二国家共存への支持を強調した。
「パレスチナが尊厳と機会、そして自らの国家を求める正当な願いに、米国は背を向けはしない。イスラエルによる入植地拡大は、これまでの合意事項を破り、和平への努力をむしばんでいる。今こそ入植を止めるときだ」
また、「あまりにも多くの涙、多くの血が流された」と二者の歴史を振り返り、とどこおっている和平交渉の再開を促すと同時に、パレスチナ側には暴力の停止を、イスラエル側にはパレスチナ占領地区に対する封鎖の緩和を求めた。
■イランとの関係
一方、冷戦状態で米国と敵対するイランについても「数十年の不信を解くのは難しいだろう。しかし、勇気と公正さ、強固な意志をもって臨みたい」と述べ、「条件をつけずに」対話を求める姿勢を示した。またイランの核問題については「核兵器に関して重大な局面に到達していることは、誰が見ても明らかだ」と述べ、域内の軍拡競争に警告を発しながらも、平和的目的で原子力を保持するイランの権利は認めた。
■イスラム教とのつながりを強調
オバマ大統領は、イスラム社会との新しい道を探る糸に、ケニアに住む親族がイスラム教の家系である点や、自身がイスラム大国のインドネシアで幼少を過ごした話も織り込んだ。そして、米国が2001年の同時多発テロで負ったトラウマに触れ、決して寛大になれない行為だと非難しながらも、その後の米国が「テロとの戦い」で道を見失ったことも認めた。(c)AFP/Stephen Collinson
重要演説のひとつに数えられることになろうこの演説で、オバマ大統領は「疑念と不和」によるくすぶりの循環が続いたイスラム世界と米国の関係の先に、平和の展望を描いてみせた。中東和平プロセスの今後の道筋を提示し、不信の関係を終わらせ、パレスチナ国家建設と、核問題をめぐるイランとの対立解消を実現すると誓約した。
丸屋根を抱いたカイロ大学の大講堂で、聴衆にスタンディング・オベーションで迎えられて演壇に上ったオバマ大統領は「われわれの関係が『違い』によって定義されている限り、平和よりも憎悪を広める者たちに力を与えるだけだ」と語った。
「今日わたしがカイロに来たのは、米国と世界のイスラム教徒にとって新たな始まりを求めるためだ」。演説は全世界15億人のイスラム教徒に向け、テレビ、インターネット、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)などを通じて発信された。「恐怖と不信があまりにも満ちている。しかし過去に縛られることを選んでいては、われわれは前進しない」
■中東和平
オバマ大統領はまず中東和平に触れ、米国に対するアラブ世界の不信の根源となっているイスラエルとの関係については「壊れることはない」と明言。第2次世界大戦中の独ナチス(Nazi)によるホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)の史実を否定する言論に至っては「無知だ」と批判した。
しかし、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)前米大統領の政策とは決別し、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)のユダヤ人入植地拡大を止めないイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)政権を非難し、持論のパレスチナ国家樹立を認める二国家共存への支持を強調した。
「パレスチナが尊厳と機会、そして自らの国家を求める正当な願いに、米国は背を向けはしない。イスラエルによる入植地拡大は、これまでの合意事項を破り、和平への努力をむしばんでいる。今こそ入植を止めるときだ」
また、「あまりにも多くの涙、多くの血が流された」と二者の歴史を振り返り、とどこおっている和平交渉の再開を促すと同時に、パレスチナ側には暴力の停止を、イスラエル側にはパレスチナ占領地区に対する封鎖の緩和を求めた。
■イランとの関係
一方、冷戦状態で米国と敵対するイランについても「数十年の不信を解くのは難しいだろう。しかし、勇気と公正さ、強固な意志をもって臨みたい」と述べ、「条件をつけずに」対話を求める姿勢を示した。またイランの核問題については「核兵器に関して重大な局面に到達していることは、誰が見ても明らかだ」と述べ、域内の軍拡競争に警告を発しながらも、平和的目的で原子力を保持するイランの権利は認めた。
■イスラム教とのつながりを強調
オバマ大統領は、イスラム社会との新しい道を探る糸に、ケニアに住む親族がイスラム教の家系である点や、自身がイスラム大国のインドネシアで幼少を過ごした話も織り込んだ。そして、米国が2001年の同時多発テロで負ったトラウマに触れ、決して寛大になれない行為だと非難しながらも、その後の米国が「テロとの戦い」で道を見失ったことも認めた。(c)AFP/Stephen Collinson