北朝鮮とイランに苦しめられるオバマ米政権
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【5月27日 AFP】北朝鮮とイランによって冷や水を浴びせられた格好となったバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領の掲げる「米国の敵国」との対話の構想について、専門家らは、北朝鮮やイランの考え方を変えさせるためにオバマ氏に出来ることがほとんど無いと警鐘を鳴らす。
北朝鮮は25日、広島に投下された原爆よりも威力の大きい核兵器の実験を行い、オバマ大統領による対話と世界規模の核実験禁止の呼びかけをあからさまに否定した。
また同日、イランのマフムード・アフマディネジャド(Mahmoud Ahmadinejad)大統領も、同国の核開発について主要国との交渉を拒否すると同時に、3月に前代未聞のイラン向けビデオメッセージで関係正常化を明確に呼びかけたオバマ大統領との討論を提案した。
オバマ氏は、1月の大統領就任演説で「固く握ったこぶしをゆるめるつもりがあるのならば」世界のすべての指導者に対して手を差し伸べると語り、米国の敵国に対し、米政権の保証を与えていた。
北朝鮮の核実験を受けて、オバマ大統領は北朝鮮を非難し、国際的な対応を呼び掛けた。しかし、冷静さが評判の同大統領は、米国の戦没者追悼記念日(メモリアル・デー、Memorial Day)でもあった25日に4時間にわたってゴルフを楽しみ、パニックに陥っていない様子を示した。
しかし分析筋は、オバマ大統領は、どんな提案をしたとしても「米国の敵国」たちは独自の内部力学で動いているという厳しい現実に晒されていると指摘する。
■北朝鮮の核実験、目的は「瀬戸際外交」ではなく「核保有」
米大統領選挙中に北朝鮮政策でオバマ氏を助言した米シンクタンク、マンスフィールド財団(Mansfield Foundation)のL・ゴードン・フレイク(L. Gordon Flake)氏は、北朝鮮の核実験が米国に対する圧力の手段であるとの従来の見方に対し警告を発している。
フレイク氏は、核実験の主な目的は金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記の健康状態が前年の脳卒中以降悪化する中で北朝鮮の体制を強化することだと述べ、「オバマ政権との交渉開始を望むシグナルだという兆候は全く無い。ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)前政権末期に、6か国協議を放棄して全速力で独自の核開発を行うことを決めたのは、まず間違いない」と警告する。
ブッシュ前政権で朝鮮半島問題の最高顧問を務め、現在はジョージタウン大学(Georgetown University)の戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International Studies)の研究員を務めるビクター・チャ(Victor Cha)氏も、「北朝鮮は、オバマ政権による対話に向けた取り組みをすべて拒否している」と述べて、北朝鮮がオバマ政権を直接交渉の席に着かせるために核実験をしたという一般的な見方を否定した。
チャ氏は、金総書記体制の崩壊も視野に入れた体制変革に向け、北朝鮮が、核保有国としての地位や安全保障上の保証を手に入れようとしているのだと述べる。
■大統領選を前に、対話路線に転換できないイラン
一方、6月12日に大統領選挙を控えるイランについて分析筋は、アフマディネジャド大統領ら強硬派が、長年の反米路線を180度方向転換してオバマ大統領の呼び掛けに応じるのは不可能だと考えているはずだと分析している。
米有力シンクタンク、外交問題評議会( Council on Foreign Relations、CFR)のスコット・シュナイダー(Scott Snyder)上級研究員は、イランが、北朝鮮に対する国連安全保障理事会(UN Security Council)の対応がどれほど厳しいものになるか注目しているはずだと述べ、「もし北朝鮮への対応が弱いとみなされた場合、イランはオバマ政権の外交政策批判をさらに強める可能性がある。イランと北朝鮮は核開発で密接な関係があるので、一方に起きたことは他方にも起きると考えているに違いない」と語った。(c)AFP/Shaun Tandon
北朝鮮は25日、広島に投下された原爆よりも威力の大きい核兵器の実験を行い、オバマ大統領による対話と世界規模の核実験禁止の呼びかけをあからさまに否定した。
また同日、イランのマフムード・アフマディネジャド(Mahmoud Ahmadinejad)大統領も、同国の核開発について主要国との交渉を拒否すると同時に、3月に前代未聞のイラン向けビデオメッセージで関係正常化を明確に呼びかけたオバマ大統領との討論を提案した。
オバマ氏は、1月の大統領就任演説で「固く握ったこぶしをゆるめるつもりがあるのならば」世界のすべての指導者に対して手を差し伸べると語り、米国の敵国に対し、米政権の保証を与えていた。
北朝鮮の核実験を受けて、オバマ大統領は北朝鮮を非難し、国際的な対応を呼び掛けた。しかし、冷静さが評判の同大統領は、米国の戦没者追悼記念日(メモリアル・デー、Memorial Day)でもあった25日に4時間にわたってゴルフを楽しみ、パニックに陥っていない様子を示した。
しかし分析筋は、オバマ大統領は、どんな提案をしたとしても「米国の敵国」たちは独自の内部力学で動いているという厳しい現実に晒されていると指摘する。
■北朝鮮の核実験、目的は「瀬戸際外交」ではなく「核保有」
米大統領選挙中に北朝鮮政策でオバマ氏を助言した米シンクタンク、マンスフィールド財団(Mansfield Foundation)のL・ゴードン・フレイク(L. Gordon Flake)氏は、北朝鮮の核実験が米国に対する圧力の手段であるとの従来の見方に対し警告を発している。
フレイク氏は、核実験の主な目的は金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記の健康状態が前年の脳卒中以降悪化する中で北朝鮮の体制を強化することだと述べ、「オバマ政権との交渉開始を望むシグナルだという兆候は全く無い。ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)前政権末期に、6か国協議を放棄して全速力で独自の核開発を行うことを決めたのは、まず間違いない」と警告する。
ブッシュ前政権で朝鮮半島問題の最高顧問を務め、現在はジョージタウン大学(Georgetown University)の戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International Studies)の研究員を務めるビクター・チャ(Victor Cha)氏も、「北朝鮮は、オバマ政権による対話に向けた取り組みをすべて拒否している」と述べて、北朝鮮がオバマ政権を直接交渉の席に着かせるために核実験をしたという一般的な見方を否定した。
チャ氏は、金総書記体制の崩壊も視野に入れた体制変革に向け、北朝鮮が、核保有国としての地位や安全保障上の保証を手に入れようとしているのだと述べる。
■大統領選を前に、対話路線に転換できないイラン
一方、6月12日に大統領選挙を控えるイランについて分析筋は、アフマディネジャド大統領ら強硬派が、長年の反米路線を180度方向転換してオバマ大統領の呼び掛けに応じるのは不可能だと考えているはずだと分析している。
米有力シンクタンク、外交問題評議会( Council on Foreign Relations、CFR)のスコット・シュナイダー(Scott Snyder)上級研究員は、イランが、北朝鮮に対する国連安全保障理事会(UN Security Council)の対応がどれほど厳しいものになるか注目しているはずだと述べ、「もし北朝鮮への対応が弱いとみなされた場合、イランはオバマ政権の外交政策批判をさらに強める可能性がある。イランと北朝鮮は核開発で密接な関係があるので、一方に起きたことは他方にも起きると考えているに違いない」と語った。(c)AFP/Shaun Tandon