【5月22日 AFP】ロシア極東のハバロフスク(Khabarovsk)で開かれていた欧州連合(EU)とロシアの首脳会議は22日、EUの旧ソ連圏各国への接近をロシアのドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)大統領が「対ロシア連合」と非難するなど、エネルギー安全保障問題をめぐる両者の溝は埋まらないまま閉幕した。

 エネルギーやガス供給問題に加え、「東方パートナーシップ(Eastern Partnership)」でも、EUとロシアの対立が浮き彫りとなった。「東方パートナーシップ」は、27のEU加盟国とアルメニア、アゼルバイジャン、ベラルーシ、グルジア、モルドバ、ウクライナなど旧ソ連圏国家間で、政治および経済的関係を強化を目的としたものだが、ロシアは警戒感を募らせている。

 今回のEUロシア首脳会議は、2008年8月のロシアによるグルジア侵攻や、同年末のウクライナへのガス供給停止問題などでぎくしゃくしていたEU-ロシア関係の立て直しを目指したもので、ロシア側は、メドベージェフ大統領が提出したソ連崩壊後の東西ヨーロッパのエネルギー協力を定めた1991年の「エネルギー憲章(Energy Charter Treaty)」にとって代わる新協定の草案に対する好意的な反応を期待していた。だが、EU首脳は草案に関心はあるとしながらも、既存憲章を破棄する理由は見あたらないと退けた。
 
 これに対し、メドベージェフ大統領は、現行のエネルギー協力に加わる意志はないと反論した。ロシアはこれまで1度も「エネルギー憲章」に署名していない。

 前年末から今年初頭に起きた、ロシアとウクライナ間のガス供給停止問題で、ロシアからガス供給を受けていたEU加盟国の中には、2週間もガス供給が滞る状況が続いたことから、EU側にはロシアへのエネルギー依存を見直す動きも出ている。

 ウクライナとのガス問題について、メドベージェフ大統領は、問題の発端はウクライナ側の債務未払いにあると主張。ウクライナのガス料金支払い能力に疑問を呈したうえで、ウクライナのガス貯蔵施設へのガス充填費用、40億ユーロ(約5300億円)をEUとロシアの双方で負担することを提案した。しかし、内訳はEUの出資額が多い内容となっている。(c)AFP/Stuart Williams