【5月16日 AFP】国会議員が個人的な支出にまで「特別議員手当」を請求していた事実が次々と発覚し国民の怒りを買っている英国のゴードン・ブラウン(Gordon Brown)英首相は15日、一連の議員経費スキャンダルのリストに名前を連ねる議員の1人、シャヒード・マリク(Shahid Malik)副法相を停職させた。現在、同副法相が請求した経費について調査が行われている。

 ブラウン首相の報道官によればマリク副法相が自宅の賃貸料に特別な優遇を受けていたことについて特に非難が集まっているという。疑惑が晴れればマリク氏は職務に復帰するが、それまでは副法相の職から離れるという。

 デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)紙は、マリク副法相が自宅として指定した選挙区内の家には週100ポンド(約1万4000円)以下しか支払っていなかった一方、ロンドン(London)の家にかかる費用として3年間で6万6827ポンド(約966万円)を請求していたと報じた。

 マリク氏はロンドンの家に設置するホームシアターシステムのために2600ポンド(約38万円)を請求したが、議会当局はその半額しか承認しなかった。しかし、マッサージチェアのための730ポンド(約11万円)の支給は認めたという。

 副法相は同紙に対し、選挙区の家で生活の大半を過ごしているためその家を主要な不動産として登録したことは適切で、このためにロンドンの住宅にかかる経費を請求することができたと主張している。

 ロンドン警視庁は、幹部と法律家による検討委員会で一連のスキャンダルを刑事事件として捜査するか検討すると発表した。

 停職が発表される前、マリク氏はメディアの取材に対し潔白を主張していた。選挙区の住民の意見は批判と擁護で割れているが、英国放送協会(BBC)の世論調査では有権者の3分の2が早期の解散総選挙を求めるなど、支持率低迷に悩むブラウン政権にとって新たな打撃となっている。(c)AFP/Michael Thurston