【5月12日 AFP】民主党(Democratic Party of JapanDPJ)の小沢一郎(Ichiro Ozawa)代表は11日、9月までに行われる総選挙を前に党代表を辞任する意向を表明した。

 以下に紹介する4人は次の代表への就任が取りざたされている政治家だ。いずれも民主党の代表を務めた経験がある。この中の誰かが、半世紀以上にわたってほぼ絶え間なく政権を担ってきた麻生太郎(Taro Aso)首相の自由民主党(Liberal Democratic PartyLDP)に挑戦することになるかもしれない。

■岡田克也(Katsuya Okada、55)副代表

 政治とカネをめぐる問題が後を絶たない政界において、「ミスタークリーン(Mr. Clean)」と呼ばれることもある岡田氏は、将来の日本のリーダーになる可能性を秘めていると考える人は多い。

 東京大学(University of Tokyo)を卒業後、1976年に通商産業省(現・経済産業省)に入省し、エネルギー政策を担当。在省中1年間、米ハーバード大学(Harvard University)国際問題研究所(Center for International Affairs)に派遣される。2004年に民主党代表となるが、05年に小泉純一郎(Junichiro Koizumi)氏率いる自民党(Liberal Democratic PartyLDP)に衆院選で大敗し、代表の座を退く。現在は党副代表を務める。

 岡田氏のまじめで厳格な態度は有名。寄付からチョコレートに至るまでいかなる贈り物も受け取らない。飲酒、喫煙、ギャンブルには手を出さず、スポーツジムで体を鍛える。

 小沢代表が企業献金を含む政治資金問題に巻き込まれた後の民主党のイメージ回復の「ホワイトナイト」との呼び声が高い。岡田氏の父親は日本の小売業界第2位のイオン(Aeon)の創業者。

-岡田克也氏公式HP:http://www.katsuya.net/

■鳩山由紀夫(Yukio Hatoyama、62)幹事長

 小沢代表のもとで幹事長を務め、常に代表を支えてきた。挙党態勢を築くことができる人物だとみられている。小沢代表の政治資金問題をめぐり、党内でも代表から距離を置く議員が出る中、連日メディアで代表を擁護した。

 小沢代表と民主党に対する国民の批判が高まる中、国民の理解を得るため、党内からも小沢氏に代表職を退くよう説得するよう鳩山氏に要請があった。

 鳩山氏は米国のケネディ(Kennedy)家にもなぞらえられる有力政治一家の4世議員。祖父の鳩山一郎(Ichiro Hatoyama)氏は1955年に結党した自民党の初代総裁に選ばれた。弟の鳩山邦夫(Kunio Hatoyama)氏は麻生政権で総務大臣を務めている。

-鳩山由紀夫氏公式HP:http://www.hatoyama.gr.jp/

■菅直人(Naoto Kan、62)代表代行

 草の根運動から政治活動を始めた民主党創設者の1人。1990年代に厚生(現・厚生労働)大臣を務める。男女同権、消費者権利などにも尽力。

 1946年山口県の地元実業家の第2子として誕生。1970年東京工業大学理学部応用物理学科卒。在学中に学生運動に参加。1971年弁理士試験に合格。1974年の参議院選挙で市川房枝(Fusae Ichikawa)氏の選挙事務所代表を務める。1980年の衆院選で初当選。

 厚生相時代の1996年、薬害エイズ問題で、厚生省が非加熱製剤の危険性を認識しながらその使用を止めさせなかったことを示す文書を公表させて国民の支持を得る。同年、鳩山由紀夫氏らとともに民主党を結成し、党代表に就任。
 
 一方、党内部分裂や不倫疑惑などで人気にも陰りが見え始める。また、気が短いことから「イラカン(Ira-Kan)」と呼ばれることもある。小沢氏に献金スキャンダルの責任をとって代表辞任を説得したとも報じられている。

-菅直人氏公式HP:http://www.n-kan.jp/

■前原誠司(Seiji Maehara、47)副代表

 外交問題に精通していること、地域紛争で強硬な外交を好むことから、同僚議員からは「軍事オタク」と呼ばれている。

 民主党の「ネクスト防衛庁長官」を務めた前原氏は中国は脅威だと発言し、中国から批判されたことがある。北朝鮮に対する強硬路線でも知られている。また、自衛隊(Self-Defense ForcesSDF)の地位をめぐり憲法改正を支持している。

 2005年の衆院選で自民党が大勝した後、民主党代表に就任。「日本のトニー・ブレア(Japanese Tony Blair)」と呼ばれた前原氏のもとで民主党の人気は回復するものと思われたが、民主党議員がが偽の電子メールで自民党幹部を追及した問題の責任をとり、2006年に辞任した。(c)AFP

-前原誠司氏公式HP:http://www.maehara21.com/