【5月10日 AFP】チョコレートバーや馬糞の購入、住居の清掃サービス代、住居の修繕費――英国の議員らが「特別議員手当」を使い、個人的な経費を支出していたという事実が続々と明らかになり、支持率低迷に悩むゴードン・ブラウン(Gordon Brown)政権にとって新たな頭痛の種になっている。

 デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)紙の9日の記事によると、バーバラ・フォレット(Barbara Follett)観光相は議員手当としてロンドン(London)にある自宅の警備費用のため2万5000ポンド(約375万円)を請求したという。

 また、与党労働党(Labour Party)のマーガレット・モラン(Margaret Moran)議員は、乾燥腐敗が進んだ海辺の住居の修繕費として2万2500ポンド(約337万円)の特別手当を受け取った。

 ヘイゼル・ブリアーズ(Hazel Blears)コミュニティ相はキットカットのチョコレートバー3本の代金を、野党保守党(Conservative Party)のある議員は馬糞の購入代を、それぞれ特別手当で支払っている。

 これらはいずれも合法的だが、国内メディアは激しい非難を浴びせている。

 ブラウン首相は、現在の特別議員手当制度を改正すると約束したが、議員の間には「権威が不当におとしめられている」と反発する声も上がっている。

 デーリー・テレグラフがこのニュースを最初に伝えたのは8日で、ブラウン首相が兄弟に清掃サービスの代金として6000ポンド(約90万円)以上を支払ったとの記事が同紙に掲載された。議会当局はこの情報リークについて捜査するようロンドン警視庁(Metropolitan Police)に求め、警視庁は現在検討している。

 この一連の騒動がブラウン政権に新たな打撃を与えるだろうと、専門家らは指摘している。世論調査では、保守党は支持率で労働党を10ポイント以上も上回っている。このままでは、2010年半ばまでに行われる総選挙での敗北は必至とみられ、ブラウン政権は現在、懸命に巻き返しを図っている。(c)AFP