【5月5日 AFP】米ニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙は3日、パキスタン国内でイスラム武装勢力の活動が活発化していることを受け、同国が保有する核兵器貯蔵状況について米政府が懸念を強めていると報じた。

 同紙は、複数の匿名の米政府関係者の話として、バラク・オバマ(Barack Obama)政権は、武装勢力が輸送中の核兵器を強奪したり、研究施設や燃料製造施設などに協力者を送り込んだりする可能性を懸念していると伝えた。一方で米政府関係者らは、首都イスラマバード(Islamabad)南部に集まっている武器保管庫などが差し迫った危険にさらされていると考える理由はないと強調したという。

 しかし同紙によると、米国はパキスタンの核兵器が保管されている正確な場所はつかんでいないほか、約2週間前にイスラム武装勢力タリバン(Taliban)がイスラマバードからわずか約96キロのブネル(Buner)地区に進出したことで、米国の懸念は一気に高まった。武装勢力の活動が活発化したことで、米政府は、国内の武器類は安全だとするパキスタン政府の全面的な保証を受け入れにくくなっている。

 一方のパキスタン政府も、米国が求める、核兵器の保管場所や保安状況などの詳細な情報提供を拒否し続けている。こうしたパキスタン政府の姿勢の一因は、武装勢力がさらに勢力を拡大させた場合、米政府がパキスタンの核兵器を回収もしくは破壊する意思をもっているのではとの長年にわたる疑心暗鬼があると、ニューヨーク・タイムズ紙は指摘する。

 米政府関係者は同紙に対し、米政府はこうした問題について、パキスタン政府の上層部との協議などは行っていないと語っている。同紙は、オバマ大統領が6日、ホワイトハウス(White House)で、アシフ・アリ・ザルダリ(Asif Ali Zardari)パキスタン大統領と会談を行う予定になっており、この場で協議が開始される可能性があるとしている。(c)AFP