【5月1日 AFP】美人好きで知られるシルビオ・ベルルスコーニ(Silvio Berlusconi)伊首相に対し、妻のベロニカ(Veronica Lario)夫人がこのほど、公開書簡で夫を「厚顔無恥」と非難した。

 ベロニカ夫人は29日、ベルルスコーニ首相の女性問題をめぐる公開書簡を伊メディアに発表。「はっきりさせておきたいのは、私と子どもたちは犠牲者であり、共犯者ではないという点だ。私たちは堪え忍ばなければならず、そのせいで苦しんでいる」と述べた。

 公開書簡は主に、首相が率いる与党連合「自由国民(People of Freedom)」が6月の欧州議会選挙に擁立した女性候補者の選考方法について書かれている。メディア報道によれば、候補者らには女優や元ミス・イタリアなど「政治経験のない若くてかわいい女性」が含まれているとされる。

 夫人は、「かわいい女性が政界に存在すること自体は良くも悪くもない。しかし女性の曲線美の陰に隠されているのは、(ベルルスコーニ首相の)厚顔無恥と無遠慮だ。これは全ての女性、何より常に最前線で女性の権利を守るため戦っている人びとに対する攻撃だ」と容赦なく夫を非難。「(候補者選びは)皇帝のちょっとした道楽にすぎないと書いた記者がいたが、新聞で報道された内容が権力の名の下に行われた恥知らずなばかげたことだという点に、私も同意する」とこき下ろした。

 これに対しベルルスコーニ首相は、妻は「左翼メディア」を信じるべきではないと反論。「わたしの妻でさえも新聞報道を信じるというのは、残念だ。左翼メディアの情報操作だというのは明らかなのに」「われわれは教養があり、毎回投票に足を運び、他の政党の一部の人たちのように悪臭を放ったりみすぼらしい格好をしたりしない、そういう人たちでイタリア政界を活性化したいと考えているだけだ」と主張した。

 元女優のベロニカ夫人は、ベルルスコーニ首相より20歳年下で、2度目の妻。めったに公式の場に姿を見せないが、こうした公開書簡を発表するのは今回で2回目となる。(c)AFP/Gina Doggett