【4月23日 AFP】米上院情報特別委員会(Senate Select Committee on Intelligence)は、ブッシュ前政権下の米当局が、「水責め」など過酷な尋問方法を拘束したテロリスト容疑者らに対して用いた問題で、米中央情報局(Central Intelligence AgencyCIA)が過酷な尋問の使用を追求し始めたのは2002年5月で、導入を後押しする重要な承認は、当時のコンドリーザ・ライス(Condoleezza Rice)国務長官が与えていたと報告した。

 同委員会は22日に発表した報告書で時系列に沿って、当時のジョン・アシュクロフト(John Ashcroft)司法長官が「水責めは合法」だとの最終判断を2002年7月26日に下して、CIAに「水責め」の導入が承認された過程を詳細に示した。

 同委員会が引用したCIAの記録によると、その9日前にライス長官が、ジョージ・テネット(George Tenet)CIA長官(当時)と会見した。その席でライス長官は、CIAが国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)関連の容疑者で最重要視し、9.11米同時多発テロ事件の主犯格の1人としていたアブ・ズベイダ(Abu Zubaydah)容疑者に関し、「CIAから申請のあった尋問を進めてもよいだろうと助言」したという。

 明らかになっている中では、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)前政権の高官から最初に「水責め」に与えられた承認が、このライス長官によるものだったとされる。

 現オバマ政権下のエリック・ホルダー(Eric Holder)司法長官は、この「水責め」による尋問手法は「拷問」だという見解を示している。「水責め」はズベイダ容疑者のほか2人に用いられたことが知られている。

 上院情報特別委員会の文書は、2002年か2003年にブッシュ政権の閣僚のうち、ライス元長官やディック・チェイニー(Dick Cheney)元米副大統領など少なくとも5人が、「水責め」による尋問方法に関する法的見地についての議論や承認に関わったとしている。

 2003年7月、当時のライス長官、チェイニー副大統領、アシュクロフト司法長官、アルベルト・ゴンザレス(Alberto Gonzales)大統領法律顧問やそのほかの高官を前に、テネットCIA長官が水責めやそのほかの尋問手法を説明した。その後に出席した高官らが「CIAの計画が合法であり、政権の方針を反映したもの」である点を再確認したと、報告書では指摘している。

 過酷な尋問方法に法的正当性を与えたブッシュ政権下の高官らについて、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領が刑事責任を問うかどうかをめぐり賛否両論が戦わされる中、今回の報告の内容が明らかにされた。(c)AFP/Michael Mathes