【4月21日 AFP】ジャーナリズムや文学などの優れた業績に与えられる2009年度のピュリツァー賞(Pulitzer Prize)が20日発表され、米ニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙が14賞中、速報部門、調査報道、国際報道など5部門で受賞した。

 速報部門は、当時のエリオット・スピッツァー(Eliot Spitzer)ニューヨーク(New York)州知事が高級売春組織の顧客であった事実を伝えた、ニューヨーク・タイムズ紙の報道が受賞した。この報道で、スピッツァー氏は知事辞任に追い込まれた。

 調査報道部門は、米国防省が退役軍人らを独立系メディアのアナリストとして、イラク戦争の正当性を語らせていた事実を暴いた同紙のデービッド・バーストウ(David Barstow)記者が受賞した。

 国際報道部門は、米国の泥沼化していくアフガニスタンやパキスタンの軍事および政治的戦略を追った斬新かつ優れた報道に対して、ニューヨーク・タイムズ紙の全スタッフに与えられた。選考委員会は「危険を伴う状況下で、随時、報道を続けた」と評価している。

 ライバル紙のワシントン・ポスト(Washington Post)、ロサンゼルス・タイムズ(Los Angeles Times)は、それぞれ解説報道、論評の1部門の受賞にとどまった。

■初めてネット専業メディアも対象に

 1917年にピュリツァー賞が制定されて以来、今回初めてインターネット専業のメディアも賞の対象に含まれた。

 経営難にある新聞業界にとって、将来性を見込める数少ない手段が、ウェブサイトを通じた報道だ。以前は「軽量級」扱いだったインターネットニュースだが、今では速報性や解説記事が人気を集める。

 今回、受賞に至ったネット報道はなかったものの、インターネット媒体が影響力を増していることは確かだ。(c)AFP/Paola Messana