【4月12日 AFP】タイのパタヤ(Pattaya)で11日、東南アジア諸国連合(Association of Southeast Asian NationsASEAN)プラス3(日中韓)首脳会議と東アジアサミットがタクシン・シナワット(Thaksin Shinawatra)元首相派のデモ隊による抗議活動で中止に追い込まれたが、会談のために準備された豪華な食事はその後、関係国首脳らに代わって、記者団と一部の役人、そして迷彩服を着た兵士らの胃袋の中に収まった。

 アピシット・ウェチャチワ(Abhisit Vejjajiva)首相の辞任を求める大規模なデモ隊が会場になだれ込んだため、会議は中止に追い込まれ、 その後ホテルに滞在していた各国首脳らは、屋上からヘリコプターで脱出する事態となった。

 こうした事態の急変を受けて、タイ当局が「首脳らのために準備した料理を無駄にせずに、会場内に残っている人たちにふるまうように」との判断を下したため、11日夜、会場である5つ星ホテルのロイヤルクリフビーチリゾート(Royal Cliff Beach Resort)の大舞踏室ではウエートレスらが「新たな客」のためにディナーを給仕した。

 AFPの記者団によると、メニューは代表的なタイ料理で、マンゴーサラダ、ナマズの唐揚げ、トム・ヤム・カイ(鶏肉を材料にしたスパイシーなスープ)、カイ・パッド(鶏の炒め料理)、ビーフのレッドカレー、ロブスターなどが、テーブルに並べられた。会場では照明がほどよく落とされ心地よい音楽が流れ、ロブスターは完璧な焼き具合だったという。

 だが、当初予定されていた伝統的なタイ音楽の生演奏はキャンセルされた。演奏する予定だった楽団が、突進するデモ隊を見て逃げ出したためだ。このほか予定されていたものと違っていたのはワインだ。官僚らが着席していたテーブルには1本だけ赤ワインのボトルがあったが、そのほかの人たちには、ソフトドリンクが出された。(c)AFP