【4月7日 AFP】北朝鮮が長距離ロケットを打ち上げたことを受けて、対応を協議している国連安全保障理事会(UN Security Council)は、新たな制裁決議を求める日米などと、北朝鮮の核問題をめぐる6か国協議の再開を重視する中露の間で、難しい調整が続いている。

 5日の安保理緊急会合では、北朝鮮に対し「強い対応」を求める米国、日本、EUに対し、安保理で拒否権を持つロシアと中国は、6か国協議の継続を危うくしかねないとして、自制を求めた。リビア、ウガンダ、ベトナムもこれに同調した。

 こうした中、米政府高官は6日、制裁決議の採択は絶対ではないとの方針をほのめかした。この高官は匿名を条件に、「米政府は安保理の対応を求めているが、対応がどういう『かたち』をとるかは問題ではない」と話した。

 シンクタンク「アメリカ平和研究所(United States Institute of Peace)」の北朝鮮問題専門家、ジョン・パーク(John Park)氏は、6か国協議を前提に自制を求める中国の呼びかけと制裁措置を強く求める日本の要求のはざまで、米国は「難しい綱渡り」を強いられていると分析する。「経済制裁の実施は実質困難だ。経済制裁とは別の方法で米国の不快感を示す方法が、強い声明を発するというやり方だ」(パーク氏)。

 一方の中国も、「同時にたくさんの事柄を天秤にかけている」とパーク氏は指摘する。

 中朝国交樹立60周年を迎える今年、中国政府は北朝鮮との経済交流をより緊密にしたいと考えているが、同時に6か国協議の議長国としての責任も認識していると、パーク氏は分析。両者を両立させる道は少なく、中国は北朝鮮側の対応にフラストレーションを感じ始めていると見る。

 パーク氏の予想はこうだ。「結局、6か国協議の早期再開以外に道はないとの共通認識に落ち着くのではないか。あとは、ミサイル発射実験という緊急課題をいかに信頼ある方法で克服するかだ」。

 安保理はどういう対応をとるか。パーク氏の考えは、外交筋や専門家の大方の見方と一致している。そのシナリオとは、拘束力のない議長声明を採択するとともに、北朝鮮に対し、6か国協議への復帰ならびにミサイル関連活動を禁止する安保理決議の順守を求めるというものだ。(c)AFP/Gerard Aziakou