【4月6日 AFP】米国のバラク・オバマ(Barack Obama)大統領は6日、2日間の日程でトルコを訪問し、欧米諸国の同盟に連なるイスラム国である同国を惜しみなく称賛した。

 アブドラ・ギュル(Abdullah Gul)トルコ大統領との共同会見でオバマ大統領は「両国関係は2003年、イラク戦争にトルコが反対した際に冷え込んだこともあったが、順調に改善を目にしてきた。トルコと米国は、宗教の自由、そして法による統治の2つの尊重の上に『モデル・パートナーシップ』を築き、国際舞台でそれらの価値観を守っていくことで、世界に模範を示すことができる。東西のメッセージをともに伝えれば、2国はただならぬ影響を発揮できると思う」と述べた。

 オバマ大統領が就任後初の欧州歴訪で最後に訪問したトルコは、欧州、カフカス(Caucasus)地方、中東の間に位置する戦略地域における米国の緊密な同盟国。グルジアやイラク、イラン、シリアといった紛争や軍事問題を抱えた国とも隣接する。

 しかし2国間関係は、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)前米大統領が2003年にイラク侵攻を命じた際、トルコが米軍に自国領内の通過を許可しなかったことで緊張が高まった。

 オバマ氏の今回のトルコ訪問は、トルコの北大西洋条約機構(North Atlantic Treaty OrgnisationNATO)加盟を通じ、欧米諸国との強固なつながりを同国に維持させたいという狙いと、トルコの欧州連合(EU)加盟を後押しする動きと捉えられている。6日の演説でもオバマ大統領は、トルコのEU加盟を支持した。

 一方でオバマ大統領は、トルコと歴史的にあつれきのあるアルメニアの暫定的な対話を歓迎すると述べた。オバマ氏は、第1次世界大戦中の当時のオスマントルコによるアルメニア人の大虐殺はジェノサイドにあたるという自らの考えは変わっていないが、国際社会は両国の和解努力を支援すべきだと強く訴えた。オバマ氏は大統領選中、1915-1917年に起きたこのアルメニア人虐殺をジェノサイドと認定することを誓約しているが、トルコ政府はこうした見解を拒絶している。

 同日オバマ氏はレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)トルコ首相と会見するほか、トルコ議会で演説する。7日には同国の宗教指導者らと会見するほか、大学生らとラウンド・ミーティングを行った後、イスタンブール(Istanbul)の2つの象徴アヤソフィア(Hagia Sophia)とブルーモスク(Blue Mosque)を訪れ帰国の途に着く。(c)AFP/Stephen Collinson