【4月5日 AFP】独仏国境のライン川を挟むドイツ側ケール(Kehl)とフランス側ストラスブール(Strasbourg)を会場に、3日から開催されていた北大西洋条約機構(North Atlantic Treaty OrgnisationNATO)の首脳会議は4日、アフガニスタン支援の強化や次期事務総長などを決めて閉幕した。

 就任後初めてNATO首脳会議に出席したバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は、自らのアフガン政策を進めるうえで欧州により大きな軍事的負担を負ってもらうという成果を収めた。

 フランスとドイツはアフガニスタンへの大幅な増派を行わないが、スペインは450人、英国は数百人、現在約2300人を派遣しているイタリアは3000人程度に増強することを表明した。さらに首脳会議では少なくとも6機のヘリコプター、3機の輸送機、医療チーム、野戦病院の提供も申し出られた。ベルギーはF-16戦闘機2機の提供を申し出た。

 しかし、現在アフガニスタンに3万8000人を送っている米国がさらに2万1000人の兵員増派を計画していることに比べると増派の規模は小さく、専門家の間にはアフガニスタンの旧支配勢力タリバン(Taliban)に奪われた地域を奪還するために十分なのか疑問視する見方もある。

 資金援助では、英国が2億ユーロ(約270億円)、スペインが2012年までに1億3000万ドル(約130億円)、ドイツが5000万ユーロ(約68億円)など合計で約4億5000万ユーロ(約609億円)の拠出が約束された。資金は主に8月の大統領選挙や、開発計画、2010年までに13万4000人規模に拡充が計画されているアフガニスタン軍の訓練、法制度の整備に充てられる。

■次期事務総長にデンマークのラスムセン氏

 また、次期事務総長には、トルコの反対を抑えデンマークのアナス・フォー・ラスムセン(Anders Fogh Rasmussen)首相が就任することを確認した。ラスムセン氏はデンマーク人として初めて8月1日にNATO事務総長に就任する。

 トルコは、デンマークがイスラム教の預言者ムハンマド(Prophet Mohammed)を風刺する漫画を掲載した新聞を擁護したことや、クルド人独立国家樹立を目指す武装組織「クルド労働者党(Kurdistan Workers' PartyPKK)」系のテレビチャンネルの閉鎖を求めるトルコの要求を拒否したとして、ラスムセン氏の事務総長就任に強硬に反対していた。

■会場周辺で抗議行動

 会場周辺では石や鉄の棒を持った抗議グループが、約1万人の機動隊と衝突した。覆面をして金属の棒を持った約100人が、協会、薬局、無人の警察官詰所などを襲った。過激派は主催者発表で3万人、警察発表で1万人にふくれあがった。フランス内務省によれば4日の衝突で、抗議行動に参加した6人と警察官4人が負傷した。(c)AFP/Dave Clark