【3月30日 AFP】インド警察は30日、政治集会で反イスラム演説を行い宗教的嫌悪感情をあおり立てたとして逮捕したインド政界の名門出身のバルン・ガンジー(Varun Gandhi)容疑者(29)を、騒乱を引き起こした容疑で再逮捕した。同容疑者は、28日に警察署に出頭した際に支持者らを引き連れて来たため、支持者と警官隊が衝突する騒動となっていた。

 バルン容疑者は、インドの初代首相ジャワハルラル・ネール(Jawaharlal Nehru)氏のひ孫で、4月の総選挙でヒンズー至上主義の野党・インド人民党(Bharatiya Janata PartyBJP)から出馬を予定していた。しかし選挙運動中、「(BJPが)イスラム教徒の首を切りとる」と述べ、イスラム教徒のライバル候補を国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の指導者ウサマ・ビンラディン(Osama bin Laden)容疑者にたとえる様子がビデオに収められていたため、インドの政界に動揺を引き起こしていた。

 バルン容疑者は28日、「刑務所に入る用意ができている」と述べ、出馬を予定していたウッタルプラデシュ(Uttar Pradesh)州の警察署に大勢の支持者らとともに出頭した。その際、支持者らが警官隊に石を投げつけ、支持者と警官隊が衝突したという。

 バルン容疑者は、反イスラム教徒演説を行ったことを否定しており、また、録画されたテープは細工されたものだと主張している。30日には、同容疑者の保釈申請が行われる。

 ヒンズー至上主義のBJPから立候補するバルン容疑者は、同容疑者の一族がこれまで維持してきた政教分離の姿勢を崩すことになる。また、バルン容疑者の一連の騒動は、インド国内のヒンズー教徒とイスラム教徒の対立問題を選挙の争点に浮かび上がらせる格好となった。(c)AFP/Kulsum Mustafa