【3月20日 AFP】米国のワシントンD.C.(Washington D.C.)で19日、中国の諜報機関員だった男性が、中国政府は国内外の反体制派中国人を取り締まるために、世界規模で諜報員を暗躍させていると述べ、米国政府に強い態度で臨むよう求めた。

 中国国家安全部(Ministry of State Security)で諜報活動を行っていたという李鳳智(Li Fengzhi)氏(40)は同日、亡命申請について議員と協議するため米議会を訪れ、記者会見を開いた。李氏の支援者らによると、国家安全部の職員による亡命は初めてだという。

 緊張した面持ちで記者会見に臨んだ李氏は、亡命を決意するに至った理由について、国家安全部で、反体制派の活動家や精神修業団体、不当に貧困状態に置かれた人びとを対象とした国家安全部でのスパイ活動に従事することに、「怒り」を感じたからだと語った。

「中国政府は、基本的な人権を求める人びとを、うそや暴力で弾圧するだけでなく、あらゆる手段を用いて、こうした真実を国際社会から隠ぺいしている」(李氏)

 また、いかに中国が経済的に発展しようとも、国民を見下し抑圧するような政府に安定はないと、中国政府を糾弾。欧米政府に対しても、対中国外交で、一時的な経済や政治的利益のみを求めて人権問題を無視するならば、「『専制』中国共産党の綱領を暗唱しているのと大差ない」と、厳しく批判した。

 李さんの説明によると、中国国家安全部は、世界各地に張りめぐらせた情報網を駆使して、外国での極秘情報の不正入手や、在外中国人の監視活動などを行っており、こうしたスパイ情報網の実態を正確に把握しているのは、政府高官だけだという。

 李さんは数年前に中国から米国に脱出したが、今まで公の場に出ることはなかった。(c)AFP/Shaun Tandon