【3月10日 AFP】チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ(Dalai Lama)14世は「チベット動乱」から50年目の10日、亡命先のインド北部ダラムサラ(Dharamshala)で演説し、チベット自治区に「この世の地獄」をもたらしたと中国政府を非難した。

 ダライ・ラマは演説で、「意味のある自治」を求めた。1959年3月10日に発生した動乱以降、一連の抑圧で、チベット自治区に「筆舌に尽くしがたい苦しみと破壊」をもたらしたと厳しい調子で非難した。動乱がきっかけでダライ・ラマは亡命した。

 中国当局は、抗議行動を阻止するためチベット高原一帯に大規模な厳戒態勢を敷いている。チベット自治区中心都市ラサ(Lhasa)では、住民によると10日朝の時点で抗議行動はまったく行われておらず、中国国内のチベット人居住地区でも同様だという。武装兵士や警官が通りを巡回する威嚇行動が一因とみられる。

 前年同日にはラサで仏僧が主導した平和的デモが4日後に反中国の暴動に発展、同国西部のチベット人居住地区にも飛び火した。

 チベット亡命政府は治安部隊による鎮圧で200人以上が死亡したとしているが、当局はこれを否定、「反乱者」が21人死亡したとしている。(c)AFP