【3月3日 AFP】(一部更新)AFPが2日に入手した米司法省の文書によると、中央情報局(Central Intelligence AgencyCIA)が、水責めの様子を撮影したとされる尋問ビデオ92本を破棄していたことが明らかになった。CIAによるテープ破棄問題で新たな事実が明らかになったことで、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)前政権時代の拷問についての申し立てがさらに増加する可能性がある。

 この文書は、Lev Dassin連邦検事代理が2日にニューヨーク(New York)州のAlvin Hellerstein判事にあてた手紙で、「CIAは、今なら破棄されたビデオテープの数を特定できる。92本のビデオテープが破棄された」と記されている。Hellerstein判事は、人権団体がCIAを相手取って起こした裁判の担当判事。

 Dassin検事代理は、裁判所に対し、6日までにCIAに証人となりうる人物のリストとともに、破棄されたテープの記録を準備させるよう求めた。

 CIAはこれまでのところ、複数のテープを破棄したことを認めているが、記録されていた内容については明らかにしていない。

 破棄されたビデオテープは、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)のテロ容疑者がウォーターボーディング(水責めの一種)にあっている様子を撮影したものだと報じられている。ウォーターボーディングとは、尋問の相手におぼれているような状態を体験させるもので、広く拷問だと考えられている。

 米ニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙によると、テープには、アルカイダ幹部のアブ・ズベイダ(Abu Zubaydah)容疑者や2000年にイエメンで起きた米海軍駆逐艦「コール(USS Cole)」爆破事件に関与したアブド・ラヒム・ナシリ(Abd al-Rahim al-Nashiri)元被告に対する厳しい尋問の様子が撮影されているという。

 2007年12月、当時のマイケル・ヘイデン(Michael Hayden)CIA長官は、アルカイダの2人のテロ容疑者に対する尋問の模様を撮影したビデオテープの存在を明らかにしている。このビデオテープは02年に撮影されたもので、その後、尋問にかかわったCIA職員の身元を保護するために05年に破棄された。(c)AFP/Lucile Malandain/Daphne Benoit