グアンタナモから釈放の男性、秘密移送と拷問からの解放
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【2月24日 AFP】キューバのグアンタナモ(Guantanamo)米海軍基地のテロ容疑者収容施設に拘束されていたビンヤム・モハメド(Binyam Mohamed)氏(30)が23日、釈放され、英国に到着した。バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領の政権下で初の釈放者となる。
モハメド氏は6年半にわたり、グアンタナモ以外にも、国家間秘密移送(レンディション)のもと複数の国で拘禁されてきた。
モハメド氏は同日、弁護士を通じて「最悪の悪夢においてさえ考えられないような体験をした。拉致され、ある国から別の国へ連行され、中世風の拷問を受けるとは、こうしたことがすべて米政府の指揮下で行われていたとは、いまだに信じられない思いだ」との声明を発表した。
一方で「報復を呼びかけるつもりはない」とし、今後はグアンタナモ収容施設に拘束されている人びとが自由の身になれるよう努めたいとの思いを表明した。「みんなに見捨てられたと感じた時、最も絶望を感じた。誰一人として忘れ去られることがないようにすることが、わたしの義務でもある」
■イスラム教国訪問中に拘束
エチオピア生まれのモハメド氏は1994年、難民申請が認められ、英国市民となった。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)によると、イスラム教徒に改宗した同氏は2000年代初め、イスラム教の国々を訪問しようと思い立ち、パキスタンとアフガニスタンを訪れた。両国は01年の9.11米同時多発テロ後、米軍による当時のアフガニスタン支配勢力、イスラム原理主義組織タリバン(Taliban)の掃討作戦で混乱に陥った。
だが、米政府高官は、同氏は国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)のキャンプで訓練を受けていたと主張する。
同氏は02年4月10日、パキスタンのカラチ(Karachi)空港で、偽造パスポートで英国に戻ろうとしているところを拘束され、同国で3か月間拘禁された。この間、米英の当局者から拷問を受けたと、同氏は主張している。
■移送と拷問の繰り返し
同年7月、米当局に引き渡された同氏は、モロッコに移送され、そこで18か月にわたり拘禁された。そこで同氏は、カミソリで性器を切られる、傷口に化学薬品を注がれる、向精神薬を飲まされるなどの拷問を受けたとされる。
さらに、本人の申し立てによると、04年1月からアフガニスタンの米軍施設に収容されてさらなる拷問を受け、同年5月にグアンタナモ収容所に移送された。グアンタナモでは警備が最も厳重な区画に収容された。05年には待遇改善を求めるハンガーストライキにも参加したという。
国家間秘密移送下の収容者の例にもれず、モハメド氏も、この間に裁判で証言することも、弁護士に接見することも、領事の援助を求めることもできなかった。
■オバマ大統領の選出直前に「起訴取り下げ」
同氏は05年、グアンタナモの特別軍事法廷で、ホセ・パディジャ(Jose Padilla)被告とのテロ共謀などの罪で起訴された。パディジャ被告は、米国籍のプエルトリコ人で、米国内で爆弾テロを計画した罪に問われている。モハメド氏は審理中、「検察側は人違いをしている」と主張し続けた。
オバマ氏が米次期大統領に選出される直前の前年10月、米当局は、モハメド氏に対する起訴のほぼすべてを取り下げたと発表。その直後、英政府は、同氏がどのような待遇を受けてきたかを調査中だと明らかにした。
同氏は今月初めにも、これまでの待遇に抗議する13日間のハンガーストライキを実施している。
23日に帰国がかなったモハメド氏だが、英外務省によると、あくまでも「仮滞在」が許可される方向だという。(c)AFP
モハメド氏は6年半にわたり、グアンタナモ以外にも、国家間秘密移送(レンディション)のもと複数の国で拘禁されてきた。
モハメド氏は同日、弁護士を通じて「最悪の悪夢においてさえ考えられないような体験をした。拉致され、ある国から別の国へ連行され、中世風の拷問を受けるとは、こうしたことがすべて米政府の指揮下で行われていたとは、いまだに信じられない思いだ」との声明を発表した。
一方で「報復を呼びかけるつもりはない」とし、今後はグアンタナモ収容施設に拘束されている人びとが自由の身になれるよう努めたいとの思いを表明した。「みんなに見捨てられたと感じた時、最も絶望を感じた。誰一人として忘れ去られることがないようにすることが、わたしの義務でもある」
■イスラム教国訪問中に拘束
エチオピア生まれのモハメド氏は1994年、難民申請が認められ、英国市民となった。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)によると、イスラム教徒に改宗した同氏は2000年代初め、イスラム教の国々を訪問しようと思い立ち、パキスタンとアフガニスタンを訪れた。両国は01年の9.11米同時多発テロ後、米軍による当時のアフガニスタン支配勢力、イスラム原理主義組織タリバン(Taliban)の掃討作戦で混乱に陥った。
だが、米政府高官は、同氏は国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)のキャンプで訓練を受けていたと主張する。
同氏は02年4月10日、パキスタンのカラチ(Karachi)空港で、偽造パスポートで英国に戻ろうとしているところを拘束され、同国で3か月間拘禁された。この間、米英の当局者から拷問を受けたと、同氏は主張している。
■移送と拷問の繰り返し
同年7月、米当局に引き渡された同氏は、モロッコに移送され、そこで18か月にわたり拘禁された。そこで同氏は、カミソリで性器を切られる、傷口に化学薬品を注がれる、向精神薬を飲まされるなどの拷問を受けたとされる。
さらに、本人の申し立てによると、04年1月からアフガニスタンの米軍施設に収容されてさらなる拷問を受け、同年5月にグアンタナモ収容所に移送された。グアンタナモでは警備が最も厳重な区画に収容された。05年には待遇改善を求めるハンガーストライキにも参加したという。
国家間秘密移送下の収容者の例にもれず、モハメド氏も、この間に裁判で証言することも、弁護士に接見することも、領事の援助を求めることもできなかった。
■オバマ大統領の選出直前に「起訴取り下げ」
同氏は05年、グアンタナモの特別軍事法廷で、ホセ・パディジャ(Jose Padilla)被告とのテロ共謀などの罪で起訴された。パディジャ被告は、米国籍のプエルトリコ人で、米国内で爆弾テロを計画した罪に問われている。モハメド氏は審理中、「検察側は人違いをしている」と主張し続けた。
オバマ氏が米次期大統領に選出される直前の前年10月、米当局は、モハメド氏に対する起訴のほぼすべてを取り下げたと発表。その直後、英政府は、同氏がどのような待遇を受けてきたかを調査中だと明らかにした。
同氏は今月初めにも、これまでの待遇に抗議する13日間のハンガーストライキを実施している。
23日に帰国がかなったモハメド氏だが、英外務省によると、あくまでも「仮滞在」が許可される方向だという。(c)AFP