【2月11日 AFP】イスラエル総選挙が僅差の結果となったことを受け、与党・中道カディマ(Kadima)党首のツィピ・リブニ(Tzipi Livni)外相と右派野党リクード(Likud)党首のベンヤミン・ ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)元首相が、次期首相の座をめぐって激しい駆け引きを繰り広げている。

 総選挙は、総議席120のうちカディマが28議席、リクードが27議席を獲得する大接戦となった。そのため、少なくとも数週間にわたって不透明な政局が続くとみられる。

 今後7日以内に、シモン・ペレス(Shimon Peres)大統領が各党指導者らと会談し、国会で多数派を獲得して次期政権を実現する可能性の最も高い党首に組閣を要請することになる。

 右派全体が躍進したため、ネタニヤフ元首相の首相復帰の可能性が高まっている。一方で、リブニ外相はただちに連立に向けた交渉を開始し、11日には、政局のカギを握るとみられている極右政党「わが家イスラエル(Yisrael Beitenu)」のアビグドル・リーバーマン(Avigdor Lieberman)党首と会談した。

 リブニ外相側は、リーバーマン党首との会談後、「団結し、両党の重要政策を推進する機会だととらえている。これからも対話を続けることで合意した」と述べた。

 総選挙ではパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)攻撃と治安への懸念を背景に強硬派が躍進したが、右派が政権を獲得した場合、米国の推進する中東和平プロセスが暗礁に乗り上げる可能性がある。

 カディマの僅差での勝利後、日刊紙イディオト・アハロノト(Yediot Aharonot)は「勝者はリブニ氏だが、カギを握っているのはネタニヤフ氏」と伝えた。また、タブロイド紙マーリブ(Maariv)は「リブニ氏は昨日の争いには勝ったが、戦争には敗北する可能性が高い」と宣告した。

 各党指導者らは連立をめぐり激しい駆け引きを繰り広げており、イスラエルの政局がこう着状態に陥る危険性が出てきている。マーリブ紙は「イスラエルは前代未聞の政治的危機に突入した」と報じた。

 ネタニヤフ氏とリブニ氏はそれぞれ、選挙後ただちに勝利宣言を行った。(c)AFP/Patrick Moser