【2月11日 AFP】タイ政府は11日、米女優アンジェリーナ・ジョリー(Angelina Jolie)さんがミャンマーのイスラム教徒の少数民族ロヒンギャ(Rohingya)難民の人権を無視しているとしてタイ政府を非難した発言への不快感を示した。

 国連難民高等弁務官事務所(UN High Commissioner for RefugeesUNHCR)の親善大使を務めるジョリーさんは前週、パートナーの米俳優ブラッド・ピット(Brad Pitt)さんとともに、ミャンマー国境近くにあるタイ北部のバン・マイ・ナイ・ソイ(Ban Mai Nai Soi)難民キャンプを訪問。この時に、タイ政府はロヒンギャ難民に寛大に接するべきだと発言した。

 これについてタイ外務省は、ジョリーさんが訪問した難民キャンプはロヒンギャ難民とは無関係であることを指摘し、ジョリーさんのコメントは不適切だったと批判。またタイ内務省の管轄下にある国境難民キャンプに親善大使を派遣したことについて、UNHCRの対応も非難した。

 これに対し、UNHCRのキティ・マッキンジー(Kitty McKinsey)広報官は、ジョリーさんとピットさんは共に内務省発行の訪問許可証を携帯しており、キャンプ訪問はタイ外務省が手配したものだと反論した。

 インドやインドネシア沖では、漂流するロヒンギャ難民、数百人あまりが発見される事件が数か月前から多数発生。難民らは、タイ軍により身柄を拘束され暴行を加えられたうえ、小舟に乗せて海上に放置されたと証言し、タイ政府は国際社会の非難を浴びている。

 タイ政府はロヒンギャ難民への虐待疑惑を否定する一方で、難民らは政治難民ではなく経済難民であり、難民としてタイ国内で保護するにはあたらないと主張している。(c)AFP