【2月11日 AFP】(一部更新)イスラエルで10日実施された総選挙は、与党・中道カディマ(Kadima)党首のツィピ・リブニ(Tzipi Livni)外相と右派野党リクード(Likud)党首のベンヤミン・ ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)元首相双方が勝利宣言する接戦となっている。

 全120議席中、リブニ外相のカディマが28議席、ネタニヤフ元首相のリクードは1議席少ない27議席を獲得した。アビグドル・リーバーマン(Avigdor Lieberman)党首率いる極右政党「わが家イスラエル(Yisrael Beitenu)」が15議席、エフド・バラク(Ehud Barak)国防相の労働党が13議席、ユダヤ教超正統派の宗教政党シャス(Shas)が11議席を獲得した。

 イスラエルの政治制度では、最多得票政党の党首が組閣するとは限らないが、選挙前にはリクードが組閣に必要な61議席を獲得するとみられていた。全体として右派政党が議席を伸ばしていることから、ネタニヤフ元首相が首相に復帰する可能性が現実味を増した。連立政権の発足に向けては、「わが家イスラエル」のリーバーマン党首が鍵を握ることとなりそうだ。

 イスラエル市民のパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)への軍事作戦への支持や安全保障への懸念が、右派の躍進を後押ししたとみられる。一方、米国が支援する中東和平交渉にとっては、逆風が予想される。

 パレスチナ自治政府はこれまで特定の候補者への言及を避けてきたが、中東和平で交渉局長を務めるサエブ・アリカット(Saeb Erakat)氏は、出口調査の結果について「イスラエル人が和平プロセスを止めようという選択をしたしたことは明らかだ」と述べ、右派躍進への失望感を示した。

 また、イスラム原理主義組織ハマス(Hamas)のファウジ・バルフム(Fawzi Barhum)報道官も、出口調査結果について、「イスラエル人は最も好戦的な候補に投票した」と述べた。(c)AFP/Joseph Krauss