【2月3日 AFP】韓国の脱北者団体などは2日、韓国政府からの警告や北朝鮮との緊張関係の高まりを無視する形で、今月、北朝鮮体制を批判するビラ散布を実施すると発表した。

 団体関係者によると、ビラ散布は金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記の誕生日である今月16日に合わせて行われ、一部のビラには北朝鮮の人びとに拾ってもらえるよう同国の紙幣も添付されるという。

 韓国政府は、これらの団体に対し、風船を使って数万枚のビラを散布する行為は、北朝鮮との関係をさらに緊張させるものだとして中止を求めている。

 韓国政府は、ビラ散布を禁止する法律はないものの、北朝鮮紙幣を韓国に持ち込む時には政府の許可が必要であることから、ビラに北朝鮮のウォン紙幣を添付することは違法行為にあたる可能性があるとしている。

 南北関係を担当する韓国統一省は、政府の許可なしに北朝鮮通貨を持ち込むことは、最大で禁固3年もしくは多額の罰金の処罰を受ける可能性があると指摘している。

 だが、脱北者団体などは、北朝鮮政府がドル紙幣を持っている住民を処罰しているとの報道を受け、北朝鮮の紙幣を添付することにしたという。団体関係者は、北朝鮮への散布用にビラ30万枚と200-300万ウォン(約5万-7万5000円)相当の北朝鮮紙幣を準備していると語った。

 ビラ散布はこれまで数年間にわたって行われてきたが、韓国に保守政権が誕生し北朝鮮との関係が悪化した前年から、北朝鮮はビラ散布に対する批判を再開している。

 ビラには、前年の夏に脳卒中を起こしたとされる金総書記の健康問題という、北朝鮮ではタブーとされている話題にも触れているという。(c)AFP